ラグビーワールドカップ(W杯)に2大会連続出場を飾り、“笑わない男”として親しまれる日本代表プロップ稲垣啓太(31=埼玉)が26日、結婚を発表した。相手は同い年でモデルの新井貴子(31)。大阪体育大体育学部3年時にミス日本となり、卒業後はパリコレなど海外のファッションショーなどで活躍している。新井と大学で同学年だった記者が、その人柄を振り返った。

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「ミス日本でファイナリストになった」-。大学3年時、スポーツマーケティングを学ぶゼミ中に、その話を聞いて驚いた。体育大学とは、なかなか結び付かない業界。最終選考当日、大きな教室で受けた講義後に「貴子、ミス日本になったで!」と大騒ぎになった。みんなで拍手をして祝福し、夜、テレビに映る姿をどこか不思議に見ていた。

スポーツとは、深い結び付きがある。高校まではバレーボールに打ち込み、大学でも男女混合で受ける科目「バレーボールI」で次々とスパイクを決めていた。フライングディスク競技の「アルティメット部」に所属し、その周囲はいつも笑顔にあふれていた。

ミス日本選出後は多忙を極め、少し遠い存在になった気がしたが、大学に来ると何も変わらない姿があった。ゼミではミス日本の活動を通じて知った経験を伝えてくれ、レクリエーションの授業で行うゲーム後は、友人と同じように“罰ゲーム”もこなした。忙しい中でゼミ内の論文もきっちりと仕上げ、目の前のことに全力で向き合っていた。

稲垣との結婚を報告するFAXを見て、最初に思い浮かんだのは、家族や友人を大切にする人柄だった。母を亡くし、プロ野球のコーチとして全国を飛び回る父の宏昌氏や、2人の姉を思う気持ちをよく聞いた。

結婚を報告するインスタグラムには、こうあった。

「日々努力を絶やさず、全てをかけて戦う姿にはいつも心を打たれています。そんな彼を家族として支えていきたいと思うようになり、こうして夫婦となれたことをとても嬉しく思います」

幸せにあふれた写真とともに、その言葉が胸にストンと落ちた。【ラグビー担当=松本航】