日本バスケットボール協会(JBA)の21年度決算が、約5億8000万円の赤字になることが、7日までに分かった。約4300万円の赤字予算だったとはいえ、“桁違い”の額に膨れ上がった。東京五輪関連の強化費やコロナ対策費などで、支出がかさんだことが要因だった。

JBA関係者は「海外チームを呼んで強化試合を行うにしても、外部との接触を遮断する“バブル空間”を宿泊先でつくる必要があった。移動時のチャーター便など、コロナ禍で想定外の出費が重なった」と説明する。女子日本代表の銀メダルへの報奨金という“うれしい出費”も、結果的には財布に響いた格好。コロナ禍に伴う選手登録料の減収も痛かった。

約6億円の赤字の承認という重大案件が議題に上がっていながら、先月下旬の評議員会はわずか30分程度で終了。出席した評議員は「議論を深めさせようという進行ではなく、あっという間にお開き。あれではチェック機能が働かない」と顔をしかめる。あるクラブ関係者は「一般企業なら経営責任が問われるような規模の赤字額。税の優遇を受ける公益財団法人として、説明が不十分」と厳しく指摘。国内リーグが分裂していた14年11月、日本協会は国際連盟から制裁を受け、ガバナンス(組織統治)の改善も要求された。前述の関係者は「これでは当時の協会のガバナンスに逆戻りだ」と憤る。

22年度予算はわずかに700万円の黒字とされているが、来年沖縄で共催するW杯関連の予算は含まれていない。複数の関係者によれば、同大会は約3億5000万円の赤字が見込まれる。1年前は約6億9000万円だったJBAの正味財産は、今回の大赤字で約1億1000万円に減少。一気に底をつきかねない状況だ。財団法人は正味財産が2年連続300万円未満で解散となってしまう。危険水域は決して遠くない。