金メダルを獲得した昨夏の東京オリンピック(五輪)以来、約1年3カ月ぶりに実戦復帰したウルフ・アロン(26=了徳寺大職)が準決勝で敗退した。

学生の植岡虎太郎(天理大4年)相手に、指導3の反則負けを喫した。

「実戦に戻るまで時間がかかった。(8月の)アジア選手権はコロナで欠場して、いい意味で練習と試合の違いを感じた」

まさかの結果を受け、回った3位決定戦では国士舘大の主将を務める熊坂光貴(4年)と対戦。延長戦に入って技ありを奪い、表彰台位は確保した。

「練習だと、投げられても負けるわけではないから技をかけられる。柔道は一本を取られたら終わり。緊張感も全く別物だな、とあらためて。次の試合に向けて、やることがたくさん見つかった」

東京五輪の後は普及のためテレビ番組などメディアに数多く出演。今年4月の全日本選抜体重別(福岡)にエントリーしたが、右足首の負傷で欠場。代表に選ばれていた杭州アジア大会(中国)は延期となり、代替開催された8月のアジア選手権も、出国前の検査で新型コロナウイルスに感染していたことが分かって渡航しなかった。

その後の国際大会にも出場せず、出げいこなどを重ね、この日が458日ぶりの公式戦出場だった。

一時は「過去最高体重」という推定120キロ超まで大きくなった。2桁の減量は「きつかったです。あまりにデカくなりすぎたので」と振り返り「まずはスタミナ。(計量後に)ご飯をたくさんリカバリーで食べたけど、もう1歩2歩、前なら踏ん張れたところが踏ん張れない部分があった。これからの練習の中で確かめていきたい」とした。

今大会は、来年5月に行われる世界選手権ドーハ大会の日本代表1次選考会を兼ねており、グランドスラム東京大会(12月、東京体育館)の出場権も懸かっている。

悔しい結果も、復帰を果たした。「楽しかった」。24年パリ五輪に向けて「1歩目としては許容範囲。まだまだですけど、最終的に五輪2連覇につなげられれば」と前を向いた。