元職員による横領の組織的隠蔽(いんぺい)など一連の不祥事に揺れる日本バドミントン協会が30日、臨時理事会を開き、中村新一理事(68)が新会長となることを決めた。朝倉康善理事(63)が副会長に就き、毛利達彦理事(63)が新専務理事を務める。

中村新会長は「世の中から信頼と評価を得るためには大改革が必要」と所信表明。課題が山積する中で、「強い覚悟を持ち、残された理事で改革に取り組む」と述べた。

副会長を務めた福田達夫衆院議員は理事を辞任。もう1人の副会長だった山田順太郎氏も同職を辞めるが、こちらは理事として協会にとどまる。

バドミントン協会は一連の不祥事により、この日付で関根義雄会長と銭谷欽治専務理事が引責辞任。今月3日に関根会長は、銭谷専務理事ともども後任選びに一票を投じる意思を示していたが、最終的に両者はこの日の会合を欠席した。

今月3日の臨時評議員会では全理事の辞職を求める声も出たが、理事会側は「議題に上がっていないから決議できない」と遮り、採決には至らなかった。関根会長と銭谷専務理事は退陣を余儀なくされたものの、処分を受けた理事は依然として多く残る。そうした理事たちが決めた新体制に、不信感を唱える声は少なくない。ある評議員は今回の決定を受け、「近いうちに臨時評議員会の再招集を請求したい」と明言。改めて全理事の解任を求める構えだ。

日体大出身の中村新会長は、関根前会長の教え子にあたる。石川県協会理事長でもある毛利新専務理事は、銭谷前専務理事と同郷。2人とも前任者から受ける影響について否定したが、ある選手関係者は「結局は傀儡(かいらい)政権になるのでは」と懐疑的だ。朝倉新副会長は愛知県協会理事長で、愛知・東海高出身の山田前副会長とは関わりが深い。別の関係者は「関根派と銭谷派の勢力争いで割れた印象。一枚岩とは言いがたく、難局を乗り切るのは容易ではない」と分析する。

一連の不祥事を受け、来年度は国からバドミントン協会への強化費が2割カットされることが決定済み。さらに、適切な組織統治がなされているか判定する「スポーツ団体ガバナンスコード」の審査で不適合となれば、来年度の強化費はゼロになってしまう。【奥岡幹浩】