ワールドカップ(W杯)出場へ黄信号-。14年ソチ・オリンピック銀メダルの葛西紀明(50=土屋ホーム)は、1回目104・5メートルの46位と失速。2回目に進めず、W杯札幌大会(20日から、札幌・大倉山ジャンプ競技場)出場に必要な30位以内に与えられるポイント獲得はならなかった。
大倉山のいたずらな風に翻弄(ほんろう)された。ゲートに出てスタンバイの姿勢のまま約15秒待ったところで、スタートできないことを告げる赤シグナルが点灯した。1度ゲートから待機場所に戻ったが、すぐにシグナルが黄色に変わり、ゲートに逆戻りした。
緑のシグナル点灯でスタートを切り、88キロで空中に飛び出したが、前の選手が受けていた正面からの浮力を感じる風は、最後までつかめなかった。「ゲートで待ったことは影響しなかった。風がなかった…」。レジェンドが、がっくりと肩を落とした。
前週のHBC杯と記録会で、W杯の下部大会に当たる今週のコンチネンタル杯(HTB杯と15日のSTV杯)出場権を獲得した。さらに上位進出で3季ぶりのW杯出場権をもぎ取り、そしてW杯終盤の遠征メンバーに加わる計画は、順調に進んでいた。シーズン当初63キロだった体重は60キロまで減少。W杯から帰国した愛弟子の小林陵侑(26=土屋ホーム)も葛西のトレーニングジャンプを見て「調子は良い」と判断するほど、状態は上向きだった。
多くのファンが待ち望むW杯札幌大会出場には、15日のSTV杯で表彰台に上がるか、HTB杯でポイントを獲得した日本人選手を大きく上回る成績を残すしかない。「明日、頑張ります」。どんなに厳しくとも、可能性がある限り、葛西は、諦めない。【中島洋尚】


