都道府県対抗で争う国民体育大会のフィギュアスケート競技は31日に青森・フラット八戸で成年女子フリーが行われ、兵庫県が優勝した。

世界&全日本女王の坂本花織(22)が優勝、GPファイナル覇者の三原舞依(23=ともにシスメックス)が3位に入り、出場2選手の合計で圧勝した。ともに世界選手権(3月、さいたまスーパーアリーナ)代表、今季は世界のトップで高め合ってきた。2人でつかんだ恩返しの優勝を弾みに、頂点を争っていく。

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各代表選手が2人組でポーズを決める国体恒例の表彰式。「兵庫県」のアナウンスにリンクインした坂本が、三原をおんぶしていた。「かおちゃんのアイデアです」と三原。他選手がお姫さまだっこしているのを見た坂本だったが、腕力足りず、「じゃあ、おんぶでいく?」と提案した。

今季の世界の女子フィギュア界でトップを競う。世界女王として臨む坂本は、シーズン前半の大一番GPファイナルで三原に敗れ、その2週間後、昨年末の全日本選手権では勝利。ジュニア時代からの切磋琢磨(せっさたくま)。1月は中旬の世界ユニバーシティ冬季大会で坂本は2位、優勝は三原だった。

「今まで以上にそう(高め合い)思えるシーズンになってる」と坂本が言えば、3季前に長期休養もあった三原は「かおちゃんにそう言ってもらえるところまで戻ってくる事ができたのは、すごくうれしい」と呼応した。

この日は坂本に軍配が上がった。「練習でノーミスが増えてきた自信もあった」。全7回のジャンプ全てで加点を稼ぎ157・13点、合計238・63点は、ともに国際スケート連盟公認の155・77点、236・09点(ともに22年世界選手権)を上回った。非公認のため、「その点数が(公認大会の)世界選手権でも出せるようにしたいな」と見据えた。

三原は時差に苦しんだ。米国から帰国後、いままでになく体内時間が狂ったまま。「昨日もどこの時差か分からない時間に生活していて」。演技でも転倒があり、130・01点と伸ばせず。「まだまだ練習を積んでいきなさいということ」と前向きに捉えた。

この日は一緒だった表彰台の真ん中。3月の世界選手権で上れるのは1人だけだ。坂本は「世界選手権までずっと一緒に続くので、これからもこの調子で頑張っていきたい」、三原は「世界選手権に一緒に行けるのが心強くて、まだまだ頑張らないといけない」。世界最強の2人で、挑む。【阿部健吾】