今年7月から8月にかけて、1987年以来36年ぶりに北海道で全国高校総合体育大会(インターハイ)が行われる。道内では20市町で28競技を実施。全国47都道府県を代表する高校生が、各種目の頂点に向けて火花を散らす。87年大会では、バレーボール男子の東海大四(現東海大札幌)が優勝、同女子の旭川実が準優勝。重圧をはねのけて結果を出した当時の選手、指導者が、地元大会を戦う10代のアスリートへ、エールを送った。

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「翔び(とび)立て若き翼 北海道総体(インターハイ)2023」が7月22日、札幌・北海きたえーるの開会式で開幕する。今年は30競技(一部道外)を実施。全国の高校生アスリート約3万7000人が、8月21日までの1カ月間にわたって、各競技の頂点を競う。

36年前の北海道開催のバレーボール女子で旭川実を率い、旭川会場で戦った一柳昇監督(71=現高知高総監督)は「ものすごいプレッシャーでした」と振り返る。取材などで選手に極端な重圧をかけるのを避けるため、週末は旭川から1時間以上かけて留萌まで移動。廃校となった小学校の体育館で練習を行った。結果は準優勝だったが、松川一代(53)らが、この大会をきっかけに実業団、日本代表へと駆け上がった。

団体競技で道勢唯一の金メダルを、バレーボール男子の東海大四(現東海大札幌)が獲得した。セッター対角(現オポジット)でプレーした緒方正広(53=現札幌大谷高女子部監督)は「体育館が揺れるくらい(の歓声)でした」と、当時の地元ファンの熱狂ぶりを表現する。

約4カ月前の春高バレーで優勝し、絶頂の期待値で迎えた地元総体。エースアタッカーだった南由紀夫(53=現盛岡誠桜高男子部監督)は「“良くても優勝、悪くても優勝”と、周りから常にプレッシャーをかけられながら練習していました」と言う。東海大四は北海道総体での全国優勝を目標に、2年前の85年に体育コースを創設。緒方、南ら1期生は、平日午後に連日5~6時間の練習をこなしてきた。

毎週水曜夕方には強豪・北海道教員クラブのメンバーが同校の体育館に集結。セッターの成田貴志(53=現鎮西高女子監督)は「(練習後の)ヘトヘトの状態で、仕事帰りの元気な先生方と試合をするのはつらかった。夏場はみんなやせていた」と証言する。練習量を自信に変えて重圧をはねのけた。

「後輩たちにもぜひ、日本一を目指してほしい。もちろんうちのチーム(札幌大谷高女子)も頑張らせます」と、緒方は36年ぶりの北海道開催に思いをはせる。昨夏の四国総体でも高知高を率いた一柳総監督は「地元のプレッシャーは必ずかかります。気後れせず、力を出し切れるような精神状況を作って、悔いの残らない試合をしてほしい」と北海道のアスリートにエールを送った。(敬称略)

【中島洋尚】

■東海大札幌「先輩たちに並ぶ」

1月の春高バレーに出場した東海大札幌(男子)は、1回戦で全国優勝17回の名門・崇徳高と対戦。1セット目が3点、2セット目が2点届かず惜敗し、夏の高校総体に向けた新チームに代替わりした。新エースアタッカーの二川颯斗(2年)は「36年前の先輩たちに並べるようなプレーをしたい」。ミドルブロッカーの沓沢大地(2年)は「1年生の時から、その(優勝の)ために練習してきた。まずは北海道代表になり、自信を持ってプレーしたい」と、抱負を語った。