名門・花輪(秋田)の主将が、初日から堂々の走りを見せた。畠山香恋(かれん、3年)が、女子距離5キロフリーで2年連続の準優勝を果たした。世界ジュニア選手権(1月28日~2月5日、カナダ・ウィスラー)出場後、6日夕方に帰国。そのまま山形入りする長時間移動の強行軍だったが、声援を受けて無我夢中に前進した。

畠山が強気で「第1関門」を進んだ。全長5キロのコースは標高989メートルの高所からスタートし、1・5キロ付近から始まる約600メートルの上り坂は、同1010メートルから約50メートルを上る。酸素は薄くなるが、前日7日の練習を経て「そこを勝負どころにして最初から攻めた」と決断。800メートルのインターバル走、ゲレンデダッシュで強化したスタミナで突破したが「後半にちょっと落ちた」。タイムは1位と畠山の2人のみが13分台をマーク。それでも10秒7差で惜しくも金メダルを逃した。

もちろん疲労のせいにする気は、さらさらない。世界ジュニア選手権では、各国の同世代トップ選手と対戦し「体の大きさも違う。勉強になるところがいっぱいあった。それを今日、全国に来て生かしたい思いだった」。燃えた心を持ち、6日夕方に帰国。その勢いで新幹線に飛び乗り、日本一をかけた決戦の地・山形に向かった。大会に向けて疲労回復を重点に置き「疲れを抜いてから昨日の練習に入って、体調は万全だった」と強調した。

最終学年で集大成を見せる全国舞台となる。「今までお世話になった人がいっぱいいるので、恩返ししたいという気持ちで滑ったけど、悔しい気持ちもある」と準優勝に満足していない。今日9日は女子距離5キロクラシカルで59回、60回大会以来となる秋田・花輪勢の同種目連覇に挑戦する。「優勝を目指して10秒差で負けたのは悔しいけど、明日(今日9日)につなげたい」。3年ぶり有観客開催となった今大会初レースで保護者の応援も後押しになった。「優勝」という結果で、期待に応える。【相沢孔志】