6年ぶり出場の池江璃花子(23=横浜ゴム)が、個人種目今大会初の決勝進出を決めた。

準決勝2組2着の25秒72を記録し、全体5位通過。予選では19年2月に判明した白血病からの復帰後最高まで0秒01に迫る、全体3位の25秒50と好タイムをマークした。

29日は50メートル自由形の予選、準決勝と、6年ぶりの個人種目決勝を控える。開幕まで1年を切ったパリ五輪へ、大きな足跡を残す1日になる。

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決勝進出を喜ぶ大歓声を聞き、池江は隣のレーンに目を向けた。

そこに拍手する世界記録保持者ショーストロム(スウェーデン)がいた。

白血病の闘病中だった19年大会、表彰式で手のひらに「NEVER GIVE UP(諦めないで)」と記してくれた29歳の先輩。心からうれしかった。

「『スポーツのいいところだな』と思いました。本当にこの日のために頑張ってきた。決勝に残らなかったら、ずっと言ってきた、世界に戻ってきたことを証明できないと思っていた」

本命種目として臨んだ。正午前の予選も隣はショーストロム。スタートを切り「サラ選手と前半離れなかったので、焦らずに泳げた」と好記録で弾みをつけた。

夜の準決勝。2番手争いは後半勝負になり「絶対に負けたらダメだ」と前をいく選手を追った。直前練習で何度も繰り返したタッチまでまとめ「(非五輪種目の)50(メートル)ではあるんですが、決勝に残れて素直にうれしいです」と笑った。

100メートルは初日のバタフライで予選を通過できず、自由形は準決勝敗退。それでも「気持ちを強く持ちたい」と切り替え、有言実行した。

メダルへの欲は「全くないです。期待しないでください」とほほえんだ。雑念は捨て、あとは50メートルの勝負を楽しむ。【松本航】