今日、決める-。6大会連続五輪出場を目指す世界ランキング8位の女子日本代表が、初黒星を喫した。今年のネーションズリーグ(VNL)を制した同1位トルコとの全勝対決に1-3で敗戦。セットカウント3-1以内の勝利でパリ五輪出場が決まる一戦を落としたが、難敵に1歩もひかない戦いをみせたチームの視線は既に次戦に向けられた。24日の5勝1敗で並ぶ同4位ブラジルとの最終戦に勝てば、2位以内が確定。勝ってパリ切符をつかみとる。

◇  ◇  ◇

世界ランキング1位の牙城は高かった。しかし王者と渡り合い、確かな手応えを得た。開幕6戦目での初黒星にも、真鍋監督の言葉に悲観はない。「ムードのスポーツで、終盤になればなるほどプレッシャーを感じる。そんな場面を経験している選手が少ないので、今日はいい糧になる」。最後の大一番へ向け、おもてを上げた。

チームは立ち上がりから最大限の集中力を発揮した。第1セット(S)。古賀がトルコの194センチの絶対エース、バルガスのスパイクを1枚ブロックで止めた。渡辺もブロックを決め、得意のブロード攻撃でも得点を重ねた。快進撃の原動力となった戦術的サーブもさえた。ショートとロングを使い分けてコースを突き、レシーブを崩す。バルガスに万全の状態でスパイクを打たせず、このセットは4得点に抑え込んだ。1度もリードを許さず、25-22でセットを先取した。

第2Sは終盤まで1点を奪い合う攻防、第3Sは最大6点差をひっくり返し、一時はセットポイントを奪う競り合いに持ち込んだ。第4Sに力尽きたが、1歩も引かない紙一重の戦いを演じ、世界のトップを視界にとらえた。

指揮官は「サーブでかなり効果的に守備を崩していたと思う。ブロックもよかった。トルコに勝つために自信をもってよくやってくれた」とねぎらい、キャプテン古賀は「特に最初の方でサーブで崩せた展開はよかった」とうなずいた。

悔しい敗戦にも、チームに悲壮感はみじんもない。トルコ、ブラジルとの決戦を前に、古賀はミーティングでメンバーに伝えた。「このメンバーで試合ができるのもあと2戦。1つ1つの試合をしっかりかみしめてプレーをしよう」。日本のコートには、前だけを見つめる選手しかいない。

24日、同じ5勝1敗のブラジルと、パリ切符をかけた一騎打ちに臨む。「明日の試合は間違いなく試練。この日のためにやってきた。勝っていい結果を残したい」と真鍋監督は力を込めた。トルコ戦で貴重な収穫と課題を得た火の鳥NIPPON。目指すパリへ、ラストスパートをかける。【勝部晃多】

 

◆ブラジルとの過去の対戦 これまでの対戦成績は日本の45勝92敗と大きく負け越している。直近の対戦は昨年10月にオランダで行われた世界選手権の準々決勝で、フルセットの激闘の末に敗戦。最後の勝利は同じく昨年の世界選手権1次リーグで、この時は3-1で勝利し、18年のネーションズリーグから続いていた連敗を8で止めた。

 

◆パリ五輪への道 パリ五輪出場枠は開催国フランスを含む12。五輪予選のW杯バレーは、世界ランキング上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれ、総当たりで対戦。女子は中国(プールA)、日本(同B)、ポーランド(同C)で開催されており、各組上位2カ国の計6カ国が出場権を得る。残る5枠は、来年のネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド終了時(6月)の世界ランキングで決定。日本がW杯バレーで出場権を逃した場合はVNLに出場し、ポイントを重ねてランキングをより上位に上げることが必要。W杯バレーでの大陸別の切符獲得状況も、重要な要素となる。