男子日本代表(世界ランキング5位)が、パリ五輪切符獲得へ辛勝発進した。初戦で同28位のフィンランドにフルセットの末に勝利。第3セットにマッチポイントを握りながら、そこから2セットを奪われたが、最後は振り切った。攻守の要、高橋藍(22=モンツァ)がチームトップの23得点をマーク。決勝点も挙げ、存在感を示した。この競り合いを教訓に、プールB全勝での五輪本番前年の出場権獲得を目指す。1日はエジプト(同19位)と対戦する。

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「まだ終わっていない!」。2-2で突入した最終第5セット(S)。フィンランドに6連続失点を喫した10-12の窮地で、チームを鼓舞したのは高橋藍だった。絶対的エース石川が13得点に抑えられ、このセットの途中からベンチに退く中で、自然と大きな声が口をついて出た。「キャプテンの石川選手がいない分、自分自身がやらないといけない、って」。強烈なバックアタックで流れを変えた。息を吹き返したチームここから3連続得点で逆転。14-12から決勝のスパイクを決めたのも、若きエースだった。

20年の初代表入り後から、ことあるごとに口にしてきた目標は「最後を決められる選手なる」。それをW杯開幕戦の重圧がかかる局面でやってのけた。「(セッターの)関田選手からの信頼を得られてるのかなと自分自身も感じたし、最後もボールを託された時に決め切る強い気持ちがある」と胸を張った。

ランキングでは格下の相手に、ヒヤヒヤの白星スタート。第3Sには「押されている時に選手がコミュニケーションを取らずに目も見ずに、チームとして成り立ってなかった」と、ここ一番でのまとまりを課題に挙げた。「しっかりと自分たちが全員バレーで得点を取っていくところに気持ちを切り替えてやっていかないといけない」と気を引き締めた。

競り合いとなったが最後は勝ちきったことに、手応えもある。「初戦で危機感を感じられたことは非常にいいこと」とポジティブに捉えた。初めての五輪予選の独特な雰囲気にも、のまれきることはなかった。チーム最多の23得点。第2Sには「練習してないです」と笑った、後ろ向きにジャンプする曲芸フェイントでポイントを挙げてみせた。

世界最高峰のイタリアリーグで研さんを重ねて攻守の要となった。「明日からまた気持ちを切り替えて、しっかりと日本のバレーで皆さんと一緒に戦っていきたい」と誓った。天井知らずに成長を続ける22歳が、チームの枢軸となり、パリへ導く。【勝部晃多】

 

ブラン監督 プレッシャーがあったのか3セット目以降に集中を欠いたが、最後まで戦い抜いたのはよかった。自信を持って戦い続けるということをチームに植え付けたい。

 

◆パリ五輪への道 パリ五輪出場枠は開催国フランスを含む12。五輪予選のW杯バレーは、世界ランキング上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれ、総当たりで対戦。男子はブラジル(プールA)、日本(同B)、中国(同C)で開催され、各組上位2カ国の計6カ国が出場権を得る。残る5枠は、来年のネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド終了時(6月)の世界ランキングで決定。日本がW杯バレーで出場権を逃した場合はVNLに出場し、ポイントを重ねてランキングをより上位に上げることが必要。W杯バレーでの大陸別の切符獲得状況も、重要な要素となる。

 

【動画】背中に目がついている!? 高橋藍の華麗なプレイが見事に決まる