14年ソチ、18年平昌オリンピック(五輪)を2連覇し、昨年プロ転向した羽生結弦さん(28)の初のツアー公演が4日、さいたまスーパーアリーナで初日を迎えた。

本公演は羽生さんが「大好き」というゲームからインスピーレションを受けた。「繰り返し」をテーマに、人生における葛藤と成長の物語を演じた。

前半最後となった新演目「破滅への使者」の前には、6分間練習を実施。緊張感が漂う中、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や4回転ジャンプも次々と披露した。さらに初公開となる新演目を含め、「春よ、来い」や平昌五輪のフリー「SEIMEI」など計12曲を舞った。会場を埋め尽くした約1万4000人の観衆を魅了。全演目が終わるとスタンディングオベーションが起きた。

公演後、取材に応じた羽生さんの主な一問一答は次の通り。

-テーマは

羽生さん 自分自身いろんなゲームや漫画、小説だったりとか、いろんなところから「自分の人生って何だろう」とか「命って尊いものだな」とか、皆さんが感じているようなことを僕自身もいろんな作品から受け取っている。ゲームの中は「命」という概念がある意味、軽いというか繰り返しできる。だからこそいろんなことがキャラを使って好奇心のままに進んでいける。それって現実の世界に当てはめてみたら、夢をつかみにいったり、原動力のある人間なのかもしれないし。逆に、違う価値観っていうか、違う観点から見たら、とても恐ろしい人間なのかもしれない。でも、繰り返しできるってなったら、きっと人はするんだろうな、みたいなことをちょっと考えていて。

自分が選んできた選択肢というものが人生の中にあって、その選択肢の先に1回破滅っていうルートがあったとして。すべての障害を乗り越えて、夢をつかんで何か目標をつかんでっていう人生があったとして。それが、もう1回繰り返されるんだったら、皆さんは何を選ぶだろうか、って。何を選んで何を感じるのかな、ということをこのストーリーの中で、皆さんに考えてもらいたいっていうのが今回のテーマです。このストーリー自体で答えを出してほしいというものではない。考えてもらうきっかけがRE_PRAYっていう物語であり、この作品だったかな。

 

-前半の最後は競技会風だった。伝えたかった思いは

羽生さん 作品の中の一部であってほしいっていうのが強くあって。6練だけど、ちゃんと曲に合っていて、それ自体もダンジョンというか、ボス戦というか。1つのステージみたいなものを、演出として作っていったつもり。

 

-感極まっているように見える場面も。ショーとの違いは

羽生さん これまでやってきたアイスショーとはまた全然違う。1つのプログラムだけじゃなくて、1つの作品の中にいろんなプログラムがある。今までやってきたプログラムたちもあるんですけど、それが物語の中に入った時に、「全く違う見え方があるよね」「こんな見え方もあったんだな」って。そういったことを1つの流れで見せるっていうことが趣旨。全然、違った心意気で「アイスストーリー」というものに挑んでいますし、何より自分がつづって、自分が表現したいことを、多くの方々を巻き込んで作り上げていくことに、たまに怖くもなるんですけど。ある意味プレッシャーを感じながら、責任を感じながら滑らせていただく機会があって。大変だなとは思うんですけど、アスリートとして限界に挑みながらもいい演技ができるように、また頑張りたいなという気持ちになった。

 

埼玉公演は5日まで行われ、その後は佐賀、横浜を回る。