25大会ぶり2度目出場の北越(新潟)の初戦突破はならなかった。明和県央(群馬、2大会連続10度目)に5-54の完敗だった。相手にラインアウト、モールを支配され8トライ(7ゴール)を許した。劣勢の中、途中出場のWTB小菅(こすが)優斗(2年)が終了間際にトライを奪って意地を見せた。初出場だった前回に続く初戦敗退で、花園でのチーム初勝利は後輩に託された。
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チーム全員の思いが込められた楕円(だえん)球を、小菅は左手でグラウンドにたたきつけた。「最後まであきらめずにトライを取れた。3年生がボールをつないでくれたおかげ。みんなのトライ」。後半ロスタイムも3分を経過し、ラストワンプレー。左サイドライン際を駆け抜け、インゴールに。トライした左腕でガッツポーズをすると、北越フィフティーンが一斉に飛びついてきた。
ゴール前のモールでフッカー大橋武生主将(3年)がボールをキープ。パスを受けたSO目黒泰基(3年)が相手をひきつけながら作った左のスペースに、FB中坪太智(3年)が走り込む。小菅はそこからオフロードパスを受けた。3年生から2年生へ。最後の最後に生まれたトライは「北越ラグビー」の継承でもあった。
98年の初出場時は1回戦で天理(奈良)に7-71で敗れた。今回目標に掲げたのは3回戦進出。そのために、まず花園初勝利-。そんな願いはかなわなかった。明和県央に前半3分を皮切りに8トライを奪われる。ラインアウトからモールで押し込まれ、ラックからは素早く展開された。本来自分たちがやりたいプレーだった。「形ができずに、焦ってしまった」。大橋主将の表情は厳しかった。
ただ、最後のトライは当たりを強くしてモールを作ったところから。「懸ける思いがあった」(大橋主将)。スタメン15人全員が3年生。伝統校の新潟工の強力FWを参考に、個の能力が高い開志国際を破ろうと磨いてきたモール。新潟県大会を制した武器を起点にしたトライで意地を見せた。
増田宇宏監督(34)は「私自身もまだまだできたことがあると感じた。この先につなげないと」と敗北を受け止めた。小菅は淡々とした表情で言った。「もう1年ある。来年、また戻ってくる」。25大会ぶりに聖地に刻んだ足跡は、次への道しるべになった。【斎藤慎一郎】


