19大会ぶりの大学日本一を目指す慶大(関東対抗戦3位)が京産大(関西3位)を43-25で退け、3大会連続の8強入りを決めた。創部119年で初の医学部主将となったSO古田京(4年)が18得点。22日の準々決勝(秩父宮)は11大会ぶりの「早慶戦」で、帝京大と対抗戦両校優勝を飾った早大(今大会は2位枠)にリベンジを誓った。大東大(関東リーグ戦2位)流通経大(同3位)明大(関東対抗戦3位、4位枠)も準々決勝に進んだ。

伝統のタイガージャージーに身を包んだ背番号10。慶大の古田は自ら攻撃のスイッチを入れた。前半7分、相手陣22メートルライン付近でボールを持つと相手を突き飛ばして前進し、最後は引きずりながらトライ。難しい右の角度からキックも決めるなど、1トライ5ゴール1PGで18得点を稼いだ。一時1点差に迫られても、冷静に戦術を選択し「タフな時間は予想していた。こらえられたのは大きなプラス」と控えめに喜んだ。

日本最古のラグビーチームに生まれた、史上初の医学部主将だ。神奈川・慶応高時代は高校日本代表に選ばれ、同校の定期テスト上位20人が進める医学部を選んだ。ラグビーと同時進行で遺体の解体などを学び「勉強もラグビーも準備が大切。視野が広がったラグビーができている」と日本一を目指す部の中心にいる。

医学部は6年制。だが、5年生からは実習の本格化で学業に専念するため、今大会を「最後のチャンス」と位置づける。準々決勝は対抗戦で過去4年間、1度も勝てなかった早大に決まった。今季は14-21で敗れたが「リベンジしたい。日本一になるために、この部に入った。自分たちは日本一になるストーリーを持っている」。伝統の戦いは、これ以上ない発奮材料だ。

この日、8点リードの後半20分過ぎにはPGを選ばず「もう1本(トライを)取って、プレッシャーをかけよう」と強気な姿勢で引き離した。金沢ヘッドコーチは「窮地に陥った時にスタイルを出せるか」と焦点を告げた。4年間積み上げた覚悟を胸に、大学最後の冬を突っ走る。【松本航】