79大会ぶり6度目出場の早実(東京第1)が名護(沖縄)に55-3で大勝し、初戦を突破した。前半10分のNO8相良昌彦主将(3年)のトライから、記念すべき花園での同校初勝利を引き寄せた。相良の父で、早大ラグビー部監督の南海夫(なみお)氏、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長や、OBの日本ハム清宮幸太郎内野手らも観戦。花園は「ワセダフィーバー」に沸いた。明日30日の2回戦では、Bシードの流通経大柏(千葉)と対戦する。

ノーサイドの瞬間、花園に新たな歴史を刻んだ早実の選手たちは喜びを爆発させた。79大会ぶりの出場。実に87大会ぶりの勝利は、花園での記念すべき初勝利だった。会場は、大歓声に包まれた。初トライは前半10分。強烈なタックルでボールを奪い、パスを受けたNO8相良は力強く突き進んだ。「自分が取ってやろうと思っていた。味方のアシストのおかげです」と笑みを見せた。

立ち上がりは硬かった。ボールを持たれ、反則を繰り返して失点。大谷監督は「すべてが初めてで地に足が着いていなかった。こんなに硬くなるとは」と初戦の難しさを語った。相良も「大阪に来て浮ついていた」と反省したが、しっかりと勝利はつかんだ。なかなか全国が見えなかった。14年に就任した大谷監督は「ワセダ」の強みを最大限に生かし、早大から橋本コーチを招いた。食事管理やケアを行い、ケガしない体作りを徹底した。大学に出向いて合同練習も重ねてきた。

選手の半分近くが早大ラグビー部出身の父を持つ。相良の父は現早大監督の南海夫氏。大舞台で躍動する息子を見て「ラグビーを選んでくれて良かった」と目を細めた。指揮する早大は大学選手権で準決勝に進出。“年越し”が決まった。出場が決まってから親子で語り合う「一緒に年越し」の実現まであと1勝だ。WTB今駒の父憲二氏(53)は早大の87年副主将。現在は早実中等部のコーチで、今駒も「ディフェンスの基本を教えてくれた」と話す。優秀なスタッフとワセダのDNAを持った選手が集まり、ついに花園1勝を勝ち取った。

出場にあたり、OBから全員に新ジャージーがプレゼントされた。ただ、2回戦までは白のセカンドの予定。象徴の「赤と黒」は3回戦以降になる。相良は「次も勝って絶対に着たいです」。早実は伝統のユニホームを着るまで花園で暴れ続ける。【松熊洋介】

◆早稲田実業 1901年(明34)に早稲田実業中として開校した私立校。57年より現校名。生徒数は1256人(女子448人)。ラグビー部は23年創部。部員数は39人(うちマネジャー4人)で大谷監督、加藤進部長。主なOBは、プロ野球ソフトバンク王球団会長、日本ハム清宮、株式会社ZOZOの前澤社長ら。所在地は東京都国分寺市本町1の2の1。村上公一校長。