日本代表候補で編成した特別チーム「ウルフパック」が、ウェスタンフォース(オーストラリア)に51-38で勝利した。

20日の強化試合ではCTBでプレーした松田力也(24=パナソニック)が、本職のSOで先発出場してさらにアピール。司令塔として巧みなキックでゲームの流れを作り、ゴールキックとPGの計9本を全て決めるなど、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチからの信頼を得た。

次戦は5月12日にスーパーラグビー「ブランビーズ」の下部チームとオーストラリアで対戦する。

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後半5分。この日4本目のゴールキックは、右サイドのタッチ際22メートル付近から。松田は迷いなく右足を振り抜くと、ボールは左ポール外に向かって飛び出した。無料観戦で集まったファンからは失敗を予感する声が上がったが、ボールはそこから内側へ。最後はポールに当たりゴールに吸い込まれた。計算済みかのようにうなずくと、その後も外す気配はなく、ゴールキック6本とPG3本を全て成功。1人で21点を稼いだ。

ゲームメークもさえた。後半7分に敵陣深くに攻め入ると、プレッシャーをかけてきた相手防御の背後へゴロキック。タイミングよく抜け出したWTB福岡のトライを演出した。タッチキックも際どい場所へ何度も落とし、ゲームの流れを作った。メンバー変更により後半29分にCTBの位置に変わったが、フル出場で存在感を発揮した。

ウルフパックで初めて背番号「10」をつけて先発出場した。これまで絶対的司令塔のSO田村のプレーを、控えやCTBとして間近で見てきた。だからこそ「キックの判断は速くできる」とイメージはできていた。合宿では田村と一緒に試合や練習のビデオを見てプレーを研究。帝京大でもコンビを組んだSH流とも連係を密に取るなど、司令塔としての完成度を高めてきた。「久しぶりの10番で手応えはあった。プラン通りにキックで攻めてミスを誘えた」と感じる一方、31失点の展開に「チームをコントロールできなかった。まだまだ満足してない。60、70点」と引き締めた。

現在、田村がサンウルブズで活動している中、ジョセフHCの前でSOとしての輝きを見せた。指揮官は「10点満点中7点をあげたい」と評価。防御が崩れかけた時のゲームコントロールに課題を挙げたが「彼にはもっともっとこういう機会を与えたい」とさらなる成長を期待した。W杯初出場を目指す若き司令塔が、ここからさらに進化する。【佐々木隆史】

◆松田力也(まつだ・りきや)1994年(平6)5月3日、京都市生まれ。6歳の時に南京都ラグビースクールで競技を始める。京都・伏見工高1年と3年生時に花園出場。13年に帝京大に進学し、4年時の16年6月のカナダ戦で日本代表初キャップ獲得。代表キャップ数は16。ポジションはSO。181センチ、92キロ。