大相撲九州場所(11月11日初日、福岡国際センター)の番付が29日発表され、常幸龍(じょうこうりゅう、24=木瀬)が年6場所制となった1958年以降初土俵(幕下付け出しを除く)で最速となる所要9場所での新入幕を決めた。福岡市東区の木瀬部屋で会見し、早くも優勝を次の目標に掲げた。

 最速入幕の常幸龍はさらりと言った。「10場所よりも『9』で上がりたかったので良かった」。10場所でも最速とは知っていた。だが1ケタにこだわり自らに重圧を課した。先場所終了後に入幕が濃厚になったが、話題は新横綱の日馬富士に独占された。「内心、ガクッときてた」とメディアの扱いの小ささを振り返り笑った。

 入幕に満足せず、すでに次の目標を見据えている。「日本人として上に行きたいし、国技館に優勝額を飾りたい。日本出身力士の額がないのは寂しいので、ダークホースとして自分が」と掲げた。重圧を力に変えられるタイプ。高い目標は力を発揮するための手段だ。十両で優勝争いをしていた先場所13日目に黒星を喫した。その夜、木瀬親方(元前頭肥後ノ海)から「優勝して上に上がらなきゃだめだ」とVを厳命された。その結果、決定戦の末に優勝をつかみ入幕を確実にした。

 改善点は立ち合いのスピード強化と分かっている。「それを補うのは稽古。自分が一番稽古をやっていると、ある意味で勘違いするのも必要」とメンタルの強さも最速入幕の要因だ。「三賞も取りたい。あのトロフィーがほしい」。貪欲さを胸に幕内に乗り込む。【高橋悟史】