試合後、記録を整理している際に、ふと手が止まった。知識不足ながら、疑問に感じたのは約2週間前。降雨コールドとなった、4月16日の巨人戦(甲子園)だった。
1-1のまま9回が終了。降り始めていた雨は午後9時ごろに激しく強まり、試合が一時中断した。「ピッチャー桐敷」のアナウンスだけが流れ、両軍の選手はベンチへ引き下がった。しかしその後も雨が弱まることはなく、球審が降雨コールドを宣告。ドローのまま、痛み分けとなった。
不思議だったのは、コールドとなったイニングだった。試合後、スコアに記されたのは「9回」ではなく「10回表」での降雨コールド。延長戦では両軍1球も投じていない中、イニングの境目となるタイミングはどこだったのか。当日も記録員を務めた、生原記録員に尋ねてみた。
「交代発表があったかどうかなんです。桐敷投手が登板となったので、10回の表に入ったんです」
判断基準は「交代発表」があったかどうか。今回で言えば土砂降りとなる直前、岡田監督が選手交代を球審に伝えた瞬間になる。そのため桐敷の登板はすでに認められ、その時点で10回表に入ったということになる。仮に交代を告げる前に中断に入っていたとすれば、「9回3死コールド」という扱いになっていたという。
「審判に交代を告げるか告げないか。そこで9回裏3死か10回表に入るか。それは6回と7回のコールドも一緒です。どの回にも通用します」
また、10回表から「9番投手」に入る予定だった桐敷は、宣告の時点で出場試合が1試合加算。しかし、投手としての登板数は加えられない。そのため2日時点で打者成績は13試合出場だが、投手としての登板数は1試合少ない12試合のままになっている。
「桐敷投手も、ピッチャーに関しては1球も投げていないので、投手としては出場していないんです。登板は増えないけど試合出場はしてるという」
桐敷からすれば、登板直前での土砂降り。ブルペンカーこそ乗っていなかったが「行くギリギリでした」と明かした。翌日から2連投し、結果的に「3試合連続出場」となった。
野球の奥深さを痛感した1試合だった。【阪神担当=波部俊之介】