<東京6大学野球:法大8-1早大>◇第3週2日目◇27日◇神宮

 今秋のドラフト1位候補、「土佐の怪腕」法大・二神一人投手(ふたがみ・かずひと、4年=高知)が2試合連続の無四球完投勝利を飾った。最速148キロで早大から9三振を奪い5安打1失点。打線は16安打の爆発で援護し、8-1の大勝で1勝1分けとした。

 最後は148キロの直球で締めた。9回2死、二神は初回に先制適時打を浴びた4番原へ真っ向勝負を挑む。カウント2-0から、ファウル後の4球目、高めの速球で空振り三振。きっちり借りを返すと、満足そうにマウンドを下りた。

 26日は9回2死から追い付かれ、負けに等しい引き分けだった。「昨日ああいうゲームだったので、初戦のつもりで勢いを付けたかった」と踏ん張った。5安打1失点で、2試合連続の無四球完投だ。

 四国最南端の高知・足摺岬で生まれ育ったドラフト1位候補。今季から投手キャプテンに就任し、練習メニューにも責任を持つ。オフ期間は法大時代の怪物江川氏が走った多摩川沿い12キロの「江川ロード」を走り込んだ。幼少時、家業の漁業を手伝い船に乗って鍛えた足腰を、走り込みでさらに強化した。ソフトバンク小川スカウト部長は「早稲田を1点に抑えるんだから、いいですよ」と評価した。

 最多42度の優勝を誇る法大だが、今春、早大(41度)が優勝すれば並ばれる。二神ら4年生は1年春を最後に、5季優勝から遠ざかる。「大事なところで自分が勝てば、チームの力になれる」と引き締める。打倒早大へ、エースを中心に一丸となる。

 寮と神宮ベンチには「何があっても勝つ」の文字を張って戦っている。金光興二監督(53)が84年ロス五輪でケガに耐えて金メダルを獲得した柔道家の山下泰裕氏の言葉に感銘を受けた。勝てばV争いから1歩抜け出す早大3回戦。早大・斎藤に「何があっても」の心で立ち向かう。【前田祐輔】