<北東北大学野球:八戸大7-0ノースアジア大>◇第2週最終日◇27日◇岩手・市営花巻球場

 リーグ初の完全試合が出た。八戸大の塩見貴洋投手(3年=愛媛・帝京五)が8回参考記録ながら、81球7奪三振で達成。8回裏に八戸大が7点目を挙げたため、ノースアジア大に7-0でコールド勝ちした。4季ぶりの1部昇格を果たした八戸工大は昨春の覇者、青森大を5-1で下した。

 球場の空気が張り詰めた。「生で見るのは初めて。しびれた…」と八戸大の藤木豊監督(43)。24打者を相手に、外野フライはわずか5本と、危なげない投球内容だった。だが塩見は「コースに投げ切れていない。60点くらい」と満足はしていない。

 182センチ、75キロの細身をしならせ、テンポよく投げ込む142キロ左腕。低めにコントロールされた直球、スライダーに相手打者の打ち損じが目立った。「冬場に徹底的に走り込んだ。下半身を使うフォームに変えた」と塩見。昨オフの努力が実を結んだ。帝京五高時代は県ベスト4が最高で甲子園出場の経験はない。それでも中日や阪神のスカウトが注目した逸材。塩見は「将来はプロに行きたい」と高2からの夢を語った。

 リーグ初勝利を完全試合で成し遂げた塩見は、1、2年をけがで棒に振った。1年時は腰のヘルニアでキャッチボールしかできなかった。昨年7月には左腰を疲労骨折。11月までリハビリ生活だった。苦労を乗り越え、手にした勲章にも「後ろで守ってくれたみんなのおかげ」と謙虚な姿勢を崩さなかった。

 「塩見がチームに勇気を与えた。正直9回も見たかった…」と藤木監督。8回2死一、二塁から中越えの2点三塁打を放ち、コールド勝ちを決めた女房役の菅原翼捕手(4年)は「今季初ヒットでうれしいんですが(9回を投げさせられず)塩見には申し訳なかった…」と苦笑い。八戸大は開幕連勝で、3季ぶりの優勝へ弾みをつけた。【三須一紀】