<東都大学野球:中大2-1亜大>◇第6週初日◇12日◇神宮

 ドラフトの超目玉、中大・沢村拓一投手(4年=佐野日大)が、亜大・東浜巨(なお)投手(2年=沖縄尚学)とのエース対決を制し、今季5勝目を挙げた。自己最速に1キロと迫る156キロをマークして3安打、1失点で完投。井上晴哉一塁手(3年=崇徳)の挙げた2点を守り抜いた。東浜との先発対決に通算3度目で初めて投げ勝ち、チームは11季ぶりの優勝に1歩前進した。

 最上級生の意地の完投勝利だった。沢村は被安打わずか3本。4回以降無安打で、許した走者は四球、失策の2人だけだった。「エース級に勝つことが僕の仕事なんで。捕手が代わった?

 代わって負けたと言われたくないですから」。沢村がこういってのけた。

 東浜は09年2度先発で投げ合い負けた相手だった。「東都で投げ合って楽しいのは巨(東浜)だけ。2点で切り抜けるのはさすがです」。対決を望んだ相手に投げ勝ち、試合後はたたえる余裕を見せた。一方で、女房役は違った。鮫島哲新捕手(4年=鹿児島工)が9日の練習で右手小指を骨折し、飯田大祐捕手(2年=常総学院)と初コンビを組んだ。試合前に「コントロールより真ん中を大胆に攻めよう」と話し、2球目には156キロを記録、納得できないと首を振った。

 反省点は3回だ。9番の本間篤史外野手(4年=駒大苫小牧)に148キロを本塁打された。「ボールを置きに行く悪い癖が出た。ものすごく悔しい」と悔やんだ。ただ、ここから変化球を増やし立ち直れるのが今季の強さだ。高橋善正監督(66)も「やみくもに抑えよう、がなくなった。進化してますよ」。中大は13日の2回戦も勝てば、勝ち点4となり、優勝へ大きく前進する。「(優勝は)意識していない。目の前の相手を倒すだけです」。沢村が力強く言い切った。