<世界大学選手権:キューバ12-7日本>◇1日◇予選リーグB組◇神宮

 日本が敗れ、2勝1敗で1次リーグB組2位が確定した。巨人原監督のおい、東海大・菅野智之投手(3年=東海大相模)は自己最速を2キロ更新する大学生神宮最速タイの157キロをマーク。3回5奪三振と実力を披露したが、キューバの強力打線に2本塁打を浴びた。先発の東洋大・藤岡貴裕投手(3年=桐生一)は4回4失点。自慢の投手陣が5投手で4本塁打16安打と力負けした。準々決勝はA組3位(台湾とスリランカの勝者)と対戦する。

 劣勢のジャパンに、一筋の光明が見えたのは8回だ。菅野が「赤い稲妻」キューバのクリーンアップに真っ向勝負を挑む。いずれも昨年のWBC戦士。3番オリベラを空振り三振に切ると、4番A・デスパイネへの5球目、外角へ157キロを投げ込んだ。中大・沢村に並ぶ、大学生最速タイに灼熱(しゃくねつ)の神宮が沸く。ボールになったが、続く146キロのカットボールで連続三振に切った。

 大会前はWBCのキューバ戦をビデオで見た。出場選手は違うが、国の特徴をつかむためにイメージトレーニングを繰り返した。「外のカットボールとか、厳しいコースにいけば空振りが取れる。高さとコースだけ」と手応えを話した。A・デスパイネは北京五輪日本戦で3安打3打点。ストラスバーグ(ナショナルズ)から本塁打を放った強打者だ。尊敬するおじ、巨人原監督が日本代表監督としてWBCで戦った相手に、確かな輝きを放った。

 国内では経験できないホロ苦さも味わった。5番セスペデスの中前打の後、6番アブレウに外角高めへの149キロを右翼スタンドに運ばれた。交代直後の7回には左中間に被弾し、2本塁打を浴びた。「高めにいくと、逆らわずにバットに当ててくる」と規格外のパワーを体感した。

 キューバ・マルティン監督は「ものすごい才能を持っている。それが熟すには時間が必要だが、大物になる」と称賛した。9回はフォークを解禁して3者凡退に切った。「全然見えてない感じだったので、次は使えると思う」。これで日本のB組2位とキューバの同1位が確定し、再戦が実現するのは決勝になった。厳しい戦いを勝ち抜く、最大のモチベーションを得た。【前田祐輔】