<東京6大学野球:慶大7-1早大>◇最終週最終日◇1日◇神宮

 日本ハムからドラフト1位指名を受けた早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が、50年ぶりの早慶優勝決定戦でフィナーレを飾りにいく。早大は先発の福井優也投手(4年=済美)2番手大石達也投手(4年=福岡大大濠)がともに本塁打を浴びるなど、1-7で慶大に敗れた。慶大は福谷浩司投手(2年=横須賀)の9安打完投で連勝。全日程終了時点で勝ち点、勝率で並び、3日、両大学にとっては1960年(昭35)秋の「早慶6連戦」以来となる優勝決定戦を行う。

 敗戦を見届けた斎藤は、口を真一文字に結び、バスへと向かった。応武篤良監督(52)に続き、神宮正面入り口前に集まったファンに一礼して、乗り込む。第100代主将として、100季ぶりの早慶優勝決定戦に挑む。大学ラストシーズン。「持ってる男」に、出来過ぎたシナリオが用意された。

 1勝すれば優勝の一戦で、まさかの連敗を喫した。広島1位の福井、西武1位の大石が2人で6失点した。ただ1人取材に応じた応武監督は「いいところを見せようと、ドラフト1位が思ったんでしょう。昨日の斎藤も福井も大石も。(慶大投手陣と)どっちがドラフト1位か分からないですね」と嘆いた。

 福井は1回無死から2連続四球をきっかけに先制点を許すと、3回は先頭への四球から3ランを浴びた。6球団競合の大石は、投手の福谷にまさかの2ランを浴びた。次々と失点を重ねる仲間を見つめながら、斎藤は4回途中からブルペンで投球練習を行った。展開次第では胴上げ投手の可能性もあったが、点差は離れる一方。打撃陣は2試合18回で、わずか1得点。3日は斎藤の先発が確実視されるが、応武監督は「そんなの誰が決めたんですか。白紙で考えます」と煙幕を張った。

 優勝決定戦は延長無制限。50年前は早大が制した。斎藤は甲子園優勝、早大では1年生春の80年ぶり開幕戦勝利など、数々の実績を積み上げた。今春は、勝てば優勝の早慶3回戦で敗れるなど、苦い思いも味わった。7回2失点だった1回戦後は「明日、明後日と投げる機会があれば、しっかり修正したい」と話していた。

 優勝すれば、日本一を決める明治神宮大会(13日開幕)で、主将として初の選手宣誓を行うことが決まっている。応武監督は「優勝決定戦は初めて。相撲ではよく見るんですけど」。慶大・江藤監督は「佑ちゃんが出てくるのは間違いない。このままでは、という気持ちで来る」と警戒した。伝説的な勝利で始まり、31勝を積み上げた6大学野球。最後を締める舞台は整った。【前田祐輔】