来秋ドラフトの超目玉で巨人原辰徳監督(52)のおい、最速157キロ右腕の東海大・菅野智之投手(3年=東海大相模)が、巨人の1位指名を確約したことに「早い段階で評価をいただいて光栄です」と喜んだ。練習納めとなった24日、神奈川・平塚市内の同校グラウンドで会見。現段階では、来年の大学日本一にまい進すると強調しながらも「(巨人は)とにかく強くて、いい選手がそろっている」と好印象を口にした。

 巨人から異例の早期1位指名を公言された菅野が、ラブコールに応えた。「早い段階で評価していただいて、光栄ですしうれしいです」。そして、淡々とこう続けた。「でもまだ来年のことは考えられない。チームの日本一を目指してやっていくだけです」。14日に巨人清武球団代表が「1位指名することを決めました」と表明。その後に取材依頼が殺到し、急きょ開かれた会見だった。テレビカメラ6台を含む約50人の報道陣が集まった。

 国内外の球団から熱視線を浴びる立場を考慮してか、エースとしての責任感からか。喜びは控えめだったが、プロ野球選手は幼少期からの夢だ。巨人原監督を伯父に持つが故に、その世界の厳しさを聞いて育った。戦力外通告された同い年の横浜坂本大空也(たくや)外野手を例に「野球を職業にする以上、常に結果を求められる。プレッシャーも力にできれば、プロでもいい結果が出せると思う」。大学最速157キロの剛腕として、アマ球界の注目を一身に浴びる重圧すら、糧にする覚悟はできている。

 満を持してプロの世界に飛び込むため、自らに課したのがアマ最後の年の「大学日本一」だ。世代を代表する投手として、今年は身近に手本がいた。「斎藤(佑樹)さんを見ていて、その苦労が分かる気がする。期待に応えられるようしっかりやっていきたい」と士気を高めた。「強くていい選手がそろっている」という巨人からのラブコールは「妥協できないし、もっとやらなきゃと野球に集中できる」と、世代トップの自覚をより強くさせた。

 この日の練習納めではブルペンで30球を投げた。最後は一本締めで、年内の練習を終了。来年1月7日の始動には巨人清武代表もあいさつに訪れる予定だ。春秋と2度の全国大会準優勝を経験した、飛躍の1年が終わる。心から喜ぶのは、大学日本一を達成した後だ。順風満帆なプロ入りへの足掛かりとするため、11年を菅野イヤーにしてみせる。【鎌田良美】