振り切ったスイングが、心地いい。高卒2年目のオリックス宜保翔内野手(19)が、開幕1軍入りへ猛アピールを続けている。

宮崎春季キャンプは2軍スタートも、俊足や広い守備範囲で存在感を示し、オープン戦の1軍同行を勝ち取った。その後も、結果を残している。ここまで23打数10安打で、打率4割3分5厘(12日現在)。好調の秘訣(ひけつ)は、迷いのないフルスイングにある。

「打球速度とヒットって関係あると思うんです。打球が速ければ速いほど、内野の間を抜ける確率は上がる。それで…。強いスイングで、これまで通りのコンタクトの仕方ができれば、もっとヒットが増えるなぁと思って」

強く振る。速い打球を飛ばす。至ってシンプルな発想が、宜保にはピッタリはまっている。「バットも910グラムから50グラム軽くしました。今は860グラムぐらいに。より強く振ろうと思って変えたんですけど、感覚は全然(以前と)変わってない」。強く、速く-。軸をぶらさずに、その場で回転する。

有望株の成長は著しい。昨季は2軍で111試合に出場。舞洲を中心に鍛錬を積んだ。シーズン終盤の9月6日、日本ハム戦(札幌ドーム)で「8番遊撃」としてプロ初出場。9月23日のソフトバンク戦(京セラドーム)では高橋礼からプロ初安打も放った。オフには台湾・ウインターリーグにも参戦。異国の地で、技を磨いて帰ってきた。

「だんだん、迷わなくなってきました。強く振ることで、はっきりするんです。自分のスイングのいいところと悪いところが。去年より、悪いところが理解できる」

“当て逃げ”をやめた。「これまでは足を生かそうとして、ヒットゾーンに落とすことだけを考えていたんです。だから、逆方向ばっかり意識して狙っていた。ポテンヒットでもいいかな? とか、三遊間に転がせばいいのかな? って。そう考えていたら、三遊間を締められて、浅く守られていたので内野安打は出なくなったんです」。試合を重ねるうちに、気がついた。「これまではスイングの形を作るのがメインだった。うまくバットに当てて走るために。でも、今は反対なんです。できる限りの強いスイングから、自分の形に当てはめていくんです」。

6日巨人戦では「1番二塁」でスタメン出場。初回に、球界を代表するエース菅野の初球をフルスイングして、ライトに運んだ。「絶対、ここ(のコース)に来る。そう思って、狙う。ヒットゾーンを狙うんじゃなくて、強い打球を。それがヒットになる」。19歳。言葉がたくましくなってきた。【オリックス担当 真柴健】