元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。14回目は「交流戦勝手に通信簿」。セパ交流戦が20日で終了しました。今日からセ・パ2回に分けて展開します。まずは2年連続で勝率1位を飾ったソフトバンクに敬意を表し、パ・リーグ編です。攻撃面とディフェンス面に分けて、4段階評価(◎非常に優秀、○優秀、△もう少し、×改善急務)します。


【1位 ソフトバンク=攻撃面◎、ディフェンス面◎】

 23本塁打(12球団1位)打率2割7分3厘(同3位)83得点(同3位)12盗塁(同4位)。数字が物語る通り文句なしの成績だ。打って良し、投手戦でも足を使った機動力も使える。

 また、48失点(12球団1位)、防御率2・50(同2位)とこちらも文句なし。ただ1点、ケチをつけるなら失策数の多さが気になる。失策は18試合で2桁の10個(同8位)を記録した。2試合に1失策が出ている計算だ。6回以降の逆転勝ち、逆転負け(5回時で同点の試合除く、6回以降逆転の逆転となった試合は除く)を調べて見ると1勝2敗。逆転負けを2度も食らっていた。攻撃陣、投手陣の活躍に支えられての最高勝率だが、エラーが減ったらもっと勝てたと思う。守備面でまだ完璧でない中、13勝4敗1分け、貯金9はすばらしい…というか末恐ろしい。

【2位 ロッテ=攻撃面◎、ディフェンス面◎】

 チーム打率2割8分2厘(同1位)85得点(同1位)は申し分ない。が、7盗塁(同11位)は少ない。1位広島20盗塁の半分以下だ。もっと攻撃に足を絡めることができれば、まだ得点できたのではと思う。この点を強化していけば、打率がいいだけに得点力は上積みが期待できそうだ。

 防御率2・74(同3位)56失点(同4位)もまずまず。6回以降の逆転劇は勝ち負けともにゼロ。中継ぎが試合をひっくり返されない。ということはロッテは先行逃げ切り型のチーム。序盤に得点し、勝利の方程式に持ち込めば勝率は高い。初回から機動力を使うなど仕掛けていく作戦もありだろう。

【4位 楽天=攻撃面△、ディフェンス面△、※終盤の粘り◎】

 全体的にオコエ、茂木ら若い選手を「促成栽培」しながらの戦いだが、そのわりに頑張ったと思う。ウィーラーの状態が上向いているのは好材料。チーム打率2割4分4厘(同9位)、10盗塁(同7位)、67得点(5位タイ)は目立って高いという数字ではないが、則本の交流戦3戦3勝、3試合計25イニング3失点と抜群の安定感。エースで試合を落とさなかったことが浮上の大きな要因だ。6回以降の逆転勝ちが3勝(逆転負け1敗)と終盤の粘りはすばらしい。4月末に復帰したミコライオが交流戦でも8試合8イニングを投げて5ホールド、1失点と松井裕につなぐ安定感は抜群。後ろが落ち着けば、先発陣、攻撃陣への好影響が出る。気になるのはエラー。11失策(同9位)は改善急務。オコエだけじゃなく内田、足立ら若手が実戦を通じてうまく育てば、来季以降楽しみな存在に。

【5位 日本ハム=攻撃面◎、ディフェンス面○】

 67得点(同5位)17本塁打(同2位)15盗塁(同3位)打率2割6分5厘(同4位)とすべての攻撃項目において高いレベルにある。大谷も「リアル二刀流」で打撃でも貢献。終盤2連勝で締めたが、なぜ10勝8敗で貯金2にとどまったのか。大谷は交流戦3戦3勝だが、もう1人、勝ちきれる投手が必要だった。有原は1勝2敗だが、最後のDeNA戦で完封勝ち。好材料ととらえたい。リーグ戦再開後、個々がしっかり仕事を果たすことが上位進出の鍵となる。

【6位 西武=攻撃面◎、ディフェンス面×】

 12球団ワーストの失策15個が痛い。エラーさえなければ9勝9敗で終わっているチームではない。自滅するケースもあり、今後に早急な改善が必要なポイントだ。交流戦終盤に負傷離脱したおかわり君はチームにとって痛手だが、重量打線は69得点(同4位)12盗塁(同4位)打率2割6分2厘(同5位)と結果を残した。課題は明白。エラーが絡むムダな失点が、打線の強みをけずっている。雄星は交流戦3戦2勝と状態上向き、岸が復帰してくれば投手陣も厚みが増す。何と言っても18試合15個、約1試合1個の失策をどう改善するかにかかる。


◇ここまでが12球団で得点が失点を上回ったチーム◇


【12位 オリックス=攻撃面×、ディフェンス面×】

 数字も厳しい。54得点(同10位)10本塁打(同10位)打率2割3分1厘(同10位)とありがたくない「トリプル10」だ。私も現役時代、ロッテでBクラス時代を経験した。選手の暗い気持ちが想像できないでもない…。せめて最後の4試合でも勝てばリーグ戦再開へ向かう気分も違うと思ったが悪夢の4連敗。広島鈴木誠也の3試合連続V弾は応えた…。やってはいけないパ・リーグ1人負け。ヤクルトに3連勝したが、カード3連敗が3度。巻き返すためには相当頑張らねば厳しいとしか言いようがない。

 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「サトのガチ話」)