木更津総合(千葉)の早川隆久投手(2年)が、プロ注目左腕対決を制して2年連続のセンバツ出場を確実にした。花咲徳栄(埼玉)の高橋昂也投手(2年)との投げ合いで1点差を守りきり、3安打1失点で完投した。

 息詰まる投手戦を制した早川が、マウンドで雄たけびを上げた。5回以降は無安打に抑え、8三振も奪って完投勝利。122球を投げ抜いた最速142キロ左腕は「(5回の)グラウンド整備の後に、リリースポイントを前にしたら良くなった。打たせて取る投球ができた」。ソフトバンク、ロッテなどのスカウトが見守る中で、センバツ切符をたぐり寄せた。

 失投は1球だけだった。2回に浴びた先制ソロは「人生で初めて打たれたホームラン。直球が甘く入ったので、ちゃんと投げなきゃと思った」。ギアを一段上げ、打者の手元で伸びる直球で押した。準決勝で敗れた今夏の千葉大会後は、グラウンドにある約60メートルの人工浜でのダッシュや筋トレで下半身を強化。「暑い中での投げ込みも150球以上やった」と直球の最速は3キロ伸びた。短期間での成長を、大一番で披露した。

 投手歴1年でも“師匠の教え”で、関東屈指の左腕に上り詰めた。中3時に肘を痛めた影響もあり、本格的に投手を始めたのは昨秋。広島前田にあこがれ、技術面だけでなく「ルーティンや食事管理など、本を読んでまねしている」と話す。グラウンドには、右足から入って左足から出る。試合直前には必ず栄養ドリンクとゼリーを飲む。寮生活でも「タンパク質を多めに取る日は、コンビニで買って食べる」という徹底ぶりだ。試合後半は、前田を参考にしたスライダーの割合を増やして1人も走者を許さなかった。

 「マエケン・マニア」の快投で、聖地への道を切り開いた。それでも「(花咲徳栄・高橋昂は)6月の練習試合より球威がなかった。勝ったという実感はない。上には上がいる」と言った。早川の目には、全国制覇しか見えていない。【鹿野雄太】

 ◆関東、東京のセンバツ出場枠 計6校が選ばれる。関東は02年から4強進出校がすべて翌年のセンバツに出場。東京は今週末に都大会決勝が行われ、優勝校はセンバツ出場確実。最後の6校目は地区大会の成績や地域性を考慮し関東、東京からいずれか1校が選ばれる。