初出場で8強入りした明石商(兵庫)のエース吉高壮投手(3年)が、延長12回にサヨナラ適時打を浴びた。ここまでの2試合で257球。この日も自己最速を更新する146キロ直球に、得意球のスプリットを織り交ぜた。

 1-1の延長12回は、先頭の5番市岡に右翼線への二塁打を許した。6番冨田に送りバントを決められると、2者を敬遠する満塁策を選択。9番竹葉は空振り三振で2死までこぎつけたが、1番小川への4球目を左中間に落とされた。今大会最後の1球になった435球目もスプリット。吉高は「『打たれたらしょうがない。覚悟を決めてこん身の1球を投げてこい』と(捕手の)藤井に言われた。でも心の甘さが出た。力不足。悔しい思いしかない」と甘く入った1球を悔やんだ。

 サヨナラでの敗戦が決まると、整列時には4万2000人の観衆から大きな拍手を送られた。サヨナラの直前に振り出した雨も「関係なかったです」と言い訳せず。2回戦では東邦(愛知)の今大会注目右腕藤嶋と投げ合い、準々決勝でも龍谷大平安の左腕市岡と息詰まる投手戦を演じた。「大勢のお客さんの前でいいピッチャーと対戦できた。藤嶋くんのマウンドさばき、市岡くんの低めのコントロール。いいところを盗めたらと思います」。強烈な印象を残した、初めての甲子園だった。