能代は13-9で明桜を振り切り、24年ぶり9度目の優勝を決めた。準決勝まで9打数1安打と低迷していた5番小林敬介(3年)が自身初の2打席連続本塁打と大当たり。打線は17安打の猛攻で、両チーム合わせて30安打が飛び交う打撃戦を制した。

 連日の日替わりヒーロー誕生だ。能代の小林が2発のド派手な花火を打ち上げた。3回裏の2打席目、5回裏の3打席目ともに先頭で、左翼越えに連続ソロ本塁打をたたき込んだ。この2発はプロ野球も使用する、こまちスタジアムの通算250号、同251号。同スタジアムで昨夏3回戦(大曲農戦)以来となる県大会本塁打を放った小林は「切りがいいですね。やっと打てて悪い流れを断ち切れました」とスランプを脱した。

 地区大会から不調が続き、焦りが不調を増幅させた。本大会でも初戦で1安打を放ったが準々、準決勝と8打数無安打。だがこの日は、球場ロビーに掲げられている歴代本塁打記録の自分の名を確かめ、「また打ちたいな」と闘志を高めた。だが、大振りはしなかった。昨秋までボール球に手を出し、凡打することが多かった。バットを短く握り、コンパクトに振ることを徹底。チーム全員が素振りを含め、1日平均700本の打撃練習を続けてきた。本大会で計4四死球も得た小林は「開き直って無心で打ちました。フォアボールもヒット1本と同じ。本塁打はヒットの延長です」とチーム打撃を強調した。

 就任2年目の牧野嘉訓監督(46)にとっても初の県大会制覇。「打線が爆発してくれたが、一番の収穫は投手陣を中心にしっかりと守れたこと」と評価した。胴上げはなかった。小林は「夏まで取っておきたい」。伝え聞いた牧野監督は「楽しみにしてます」と笑顔で応えた。【佐々木雄高】