北海、乱打戦に散る/夏の甲子園
<全国高校野球選手権:東邦15-10北海>◇6日◇1回戦
北海(南北海道)の34度目の夏が終わった。強打の東邦(西愛知)打線にエース鍵谷陽平(3年)がつかまり、3被弾を含む14安打で7回途中で降板。自己最速の146キロをマークしながら、甘く入った失投を狙い打たれた。打線は15安打で10点を奪いエースを援護したが、最大10点差を5点に詰めたが、及ばなかった。敗れたとはいえ、2万人を超す観衆に古豪の意地はしっかり見せつけた。
想定外の強力打線に鍵谷の速球が簡単にはじき返された。先頭打者の初球。自己最速タイの144キロを右中間スタンドにたたき込まれた。やや高かったが、外角へのこん身の速球。鍵谷は「失投です。初球に投げる球じゃなかった」と振り返る。だがこの一打は序章に過ぎなかった。
3回にはやはり高めの速球を右翼ポール際に突き刺された。4回にも四球をはさむ4連打を浴び、5回には甘く入ったスライダーをバックスクリーンに運ばれた。1試合3発の被弾は初体験。「実際に対戦してみるとビデオとは全然違った」。スライダーが決まらず、直球に頼ったところを狙い打たれた。
自己最速は146キロに更新したが、投球が単調になっては全国クラスの打線は止められない。7回に10点目を許したところでついにこの夏初めての降板指令が出た。七飯町から「駒大苫小牧を倒して甲子園に行きたい」と北海にやってきた男は、地区予選から全イニングを1人で投げ抜き、志半ばで2年生にマウンドを譲った。
鍵谷1人が投げてきたこの夏。だがそれは「おんぶにだっこ」ではなく、鍵谷という絶対的な存在の下で同じ夢を見続けてきたということ。平川敦監督(37)は「鍵谷なしではここまで来られなかった」という。女房役の立島は「鍵谷と出会えた自分は日本一幸せな捕手だった。鍵谷で(甲子園に)来て、鍵谷で負けた。悔いはありません」と涙をふいた。
打線は絶対的エースが退いて勝ち目が薄らいだ後も、必死に相手投手に食らいついていった。駒大苫小牧を2度もコールドで退けた打線は、鍵谷だけのチームではないことを15安打、10得点という数字で最後に証明した。鍵谷も「皆、最後まであきらめず食らいついていったのがうれしい」と、目を赤くした。
鍵谷と北海の夏は終わった。しかし08年の夏にチーム史上最速の右腕がいたこと、駒大苫小牧をたたきつぶした最強打線があったことは、長い北海の球史に刻み込まれ、決して消えることはない。【本郷昌幸】
[2008年8月7日11時3分 紙面から]
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