<第53回全国高校軟式野球選手権大会:新田2-0羽黒>◇初日◇1回戦4試合◇25日◇明石公園野球場、高砂市野球場◇参加16校

 2年連続4度目出場の羽黒(山形)が、初戦で姿を消した。打線が拙攻を繰り返し、新田(愛媛)に0-2で惜敗。それでも左腕エース鎌田豊司(3年)、右腕の伊藤嘉章(2年)が2人で1安打に抑える好継投を見せ、限られた練習環境の中で培ってきた力を発揮した。

 試合終了のあいさつで新田の選手と握手を交わす。もう我慢できない。ベンチに向かって振り返った鎌田は、その場で泣き崩れた。打線は7安打を放ち4度も走者を三塁に進めながら、あと1本が出ず完封負け。ナインから「ごめんな」と肩をたたかれたエースは、必死に歩を進めた。

 3回1死三塁から遊ゴロの間に先制点を献上。6回には1死三塁から内野安打で2点目を奪われ、鎌田は交代した。許した安打は、この1本だけ。後を継いだ伊藤も無安打に抑え、打線の援護を待った。南東北大会で1試合ずつ完封した2本柱が、全国舞台で雄姿を見せた。

 昨夏はベスト4、秋の国体では優勝。しかしその直後、本拠地としていた町営球場の使用回数が、地元少年野球チームなどとの兼ね合いにより減った。以後、左翼付近を女子サッカー部が使用する兼用の形で、同校グラウンドでの練習を余儀なくされた。

 フリー打撃ができない影響は「あと1本」が出なかった、この日の打線に及ぼしたかもしれない。逆に練習場のハンディは、プラスにも働いた。投手は自然と外野への打球を防ごうと、低めを意識した投球を覚えた。この日も、外野には3本しか飛ばさせなかった。

 県内唯一の軟式野球チーム。県外遠征の際、常に自らバスを運転する田村隆監督(40)も、限られた環境の中、同校初の2年連続全国大会出場を果たしたナインに「連れてきてもらっただけでもうれしい」と涙ながらに感謝した。「これが自分の実力です。悔いはありません」と鎌田。伊藤も「先輩のためにも、来年は絶対に優勝します」と力強く言った。【由本裕貴】