夏の甲子園に出場した札幌一が20日、秋に向けて新チームとしてスタートした。新主将には、2回戦の智弁和歌山戦で9回に登板した須田貴一(きいち=2年)が指名された。甲子園では決勝打を許し悔しさを味わったが、大舞台での経験を力に変えチームを引っ張る。秋季札幌地区予選は25日に組み合わせ抽選が行われ、9月5日に開幕する。

 新チームが、先輩のおかげで得た経験を胸に刻み始動した。初練習を行ったこの日、最後のミーティングで菊池雄人監督(37)は、甲子園での悔しさを言葉にした。「あと1イニング、あと1点で強豪校を倒すことができた。でもそこには壁があった。どうしても乗り越えたい」。1、2年生27人を前に約20分間、今後への心構えを説いた。

 主将に任命された須田も気持ちは同じだ。智弁和歌山戦では「あきらめない気持ち、負けないぞという気持ちの大事さを身をもって学んだ」と話す。旧チームは登録18人のうち14人が3年生、スタメンのうち8人を3年生が占めた。須田も「秋は一からのスタートです」と認める。この日は甲子園から気持ちを切り替えるために、校内の屋内練習場の掃除から始めた。その後に約30分のアップ、ティー打撃をこなした。

 甲子園出場校の宿命で秋季大会までの準備期間は短い。他チームは10~20試合の練習試合をこなしている。札幌一も22日から白樺学園、小樽水産、苫小牧東などと4試合を予定するが、新チームでの練習、実戦不足は否めない。

 前主将の坂本勇樹(3年)からは、19日の解散式で「1、2年生には、あそこ(甲子園)に立ってほしい。また新しい目標に向かって頑張ってほしい」とエールを送られた。菊池監督は「背伸びするな、でもプライドを持って必死にやろう。団結力があれば壁を乗り越えられる」と選手にハッパをかけた。伝統を引き継ぎながら、新チームとしての歴史を築き上げる。【中尾猛】