第92回全国高校野球選手権の神奈川大会(7月11日開幕)の組み合わせ抽選会が12日、行われた。神奈川ではドラフトの上位指名候補、東海大相模・一二三(ひふみ)慎太投手(3年)に次いでプロの評価が高い、向上・中野ジャスティン投手(3年)が腕をぶしている。

 向上のエース右腕・中野は、緑がかったグレーの瞳で甲子園のマウンドに立つ日を見据えている。米国人の父を持ち、日本人離れしたバネで投げ降ろす最速142キロの直球とスライダーにはプロも注目。同校には昨秋以降、日米13球団のスカウトが視察に訪れた。

 秋季県大会では、2回戦で足柄を3安打完封するなどチームを4強に導いた。しかし今春は初戦敗退。4安打2失点の好投も「余裕だと思ってすきができた」と猛省し、5月の大型連休は投げ込みを続けた。

 エキゾチックな外見とは裏腹に生まれも育ちも神奈川。「朝は納豆とみそ汁とか食べます」と笑う。両親の離婚で、小3から女手1つで育ててくれた母恵さんを支えるため、将来はプロの道を希望。「でも夏の結果次第ですね」と最後の夏への思いは強い。

 春夏を通し全国出場のない向上。10年は創立100周年のメモリアルイヤーだ。初戦は12日の三浦学苑。勝ち進めば4回戦で強豪・横浜と対戦する可能性がある。「横浜とはやりたかった。絶対勝ちたい」。試合帽の裏に「Do

 my

 best」と書き込んだ頼れるエースが、こん身の投球で全国への道を切り開く。【鎌田良美】