日米親善試合に出場する全日本高校選抜チームが8月31日、成田空港から米国へ出発した。東北から唯一選出された仙台育英の最速145キロ左腕エース木村謙吾も笑顔で出国。甲子園春夏V投手の興南・島袋洋奨や夏準V投手の一二三慎太(いずれも3年)らとも既に打ち解けた様子で、チームのムードメーカーとなっていた。

 みちのくの木村が、ニッポンの木村へと変身を遂げた。代表チームを率いる興南・我喜屋優監督(60)に「チームのムードメーカーですよ」を評されるほど。島袋が「とっても面白い人」と言えば一二三も「(東海大)相模にいたら(面白すぎて)やばいっす」と、もはや「JAPAN」の中心人物だ。

 成田空港の搭乗ゲート前では、8月29日に行われた練習試合(近大戦、3-2)について、こんな掛け合いが繰り広げられた。

 木村

 自分は3番手で投げて2回1失点でした。

 一二三

 自分は5番手で1回1失点でしたけど、自責は0っす。木村は自責ですけどね(笑い)。

 お互いを意識しつつ、つっこみ合う姿は甲子園でともに戦った戦友同士だからこそだ。

 奈良での合宿中、木村は島袋にスライダーの投げ方をアドバイスした。「スラは中指で投げるんだと教わった。ストライクが取れるようになって良かった」と島袋。さらに甲子園での対戦を振り返り「木村からは1安打しか打てず苦しかった」。2人は米国でのホームステイ先も同じ。木村は「(島袋)洋奨から沖縄の方言を学んできます」と島人(しまんちゅ)魂を学ぶ意気込みだ。

 ロサンゼルスでは、メジャーリーグが野球振興のために設立したアーバンユースアカデミーと4試合を戦い、8日に帰国予定。木村が全国の強者らと肩を並べ、仙台育英で培った剛球を世界へ投じる。【三須一紀】