<高校野球兵庫大会:姫路西2-0村野工>◇15日◇2回戦

 山名崇博(3年)の右腕は、酷暑に負けない。シード校の村野工を散発4安打7奪三振で完封。4年連続3回戦進出のヒーローは、7回1安打完封の1回戦・篠山産戦から通算16イニング無失点のエースだった。

 初回1死から二塁打と3、4番への連続与四死球で満塁。伝令が走り、山名も我に返った。「歩かせたのは中軸。長打を打たれていたかもしれない相手だったと思えばいい」とプラス思考で切り替えた。相手5番を見逃し三振に取り、遊ゴロで3アウト。最大の危機を無失点でしのいだ。

 1年秋からエースで、昨夏は5回戦までチームをけん引。最速135キロのストレートと自慢のスライダー。さらに自分を客観視できる冷静さが強みだ。普段は要所で空振りを取るときに使うチェンジアップをこの日は封印。「立ち上がりから外角へのストレートが抜けていた。こんな日はチェンジアップが決まらない。大事なところで使いたいけど、制球ミスをすれば長打を浴びる危険な球ですから」。ストレート、スライダー、カーブで完封した。

 国立大進学を目指す塾通いのかたわら、西武涌井の登板のテレビ観戦は欠かさない。「変化球の精度や試合に臨む態度。自分にないものを教えてくれる投手です」と成長への糧にする。6月はチームで1日30~50本の短距離ダッシュを重ね、猛暑に備えてきた。今は疲労回復をかねた銭湯が楽しみと笑う。

 前日14日、東洋大姫路・原樹理(3年)が8回1/3を14奪三振無失点で近畿NO・1右腕の貫禄投球。昨秋の西姫路地区大会決勝で、山名はその原に投げ勝った。「投げ合った中で一番」と認める相手と兵庫の夏を盛り上げる。【堀まどか】