<全国高校野球選手権:日大三11-0光星学院>◇20日◇決勝

 悲願の大旗に、またも届かなかった。東北勢初優勝を狙った光星学院(青森)が日大三(西東京)に力負け。準決勝まで防御率0・35の右腕エース秋田教良投手(3年)が、6回2/3を9失点と打ち込まれた。3回2死一、三塁で5番高山に先制3ランを献上。真ん中に入った129キロのスライダーをバックスクリーンに突き刺された。7回2死一塁では、7番鈴木に2ランを左中間に運ばれた。「甘い球でも、あそこまで飛ぶとは…。今まで戦ってきた相手で一番強かった」と涙で認めた。

 東北勢にとって春夏通算8度目の決勝は、また苦いものになった。準決勝まで4試合で3度の2ケタ安打を放った強力打線が、散発5安打と沈黙。昨秋の現チーム始動後、公式戦と練習試合を合わせた約100試合で初の完封負けだった。

 頂点は逃したが、近づいてはきた。仲井宗基監督(41)は94年に赴任。前年、秋春夏の県大会で未勝利の弱小校だった。金沢成奉総監督(44)は「多地域の血を入れて東北を活性化しよう」と考えた。だが、簡単に人は集まらない。最初のエースは「大阪出身。でも遊撃手の3番手」だった。

 練習試合をしても相手は2軍ばかり。それでも、疲労骨折する部員が続出するほどの猛練習で、97年に甲子園初出場。00年4強、01年と03年8強と躍進した。関西の強豪も狙っていた秋田や4番田村ら、好素材がそろった今夏に花開いた。

 津波に襲われた地元八戸や、東北を思って戦った。川上主将は「胸を張って青森に帰りたい」。仲井監督も「特別な思いを力に変えた。優勝するまで挑戦したい」と本州最北端からの出直しを誓った。【木下淳】