<春季高校野球秋田大会:本荘6-1横手城南>◇24日◇1回戦◇八橋球場

 本荘が横手城南を下した。最速143キロ右腕の須藤憂真投手(3年)が、8回を散発5安打1失点と好投。制球力重視の投球で、長打を1本も許さなかった。今日25日の2回戦は中央地区大会で敗れた明桜と対戦する。

 右の本格派がクレバーな投球を披露した。本荘の須藤憂は、130キロ台前半に抑えた直球でコーナーをついてカウントを稼ぎ、追い込むと120キロ台のスライダーで横手城南打線を手玉に取った。最速143キロの速球主体ではなく、コントロールに重きを置きつつ緩急で勝負。習得中のフォークも封印した。相手打者が緩い変化球を待ちきれず、上体が突っ込むほどの球速差で8回を散発5安打1失点。「いつもはストレートで押していくけど、今日は課題の制球力を重視した。抑えられて自信になった」と納得の109球だった。

 強豪校にありながら、1年秋から地区大会に登板。同じく1年時からエース格だった1つ上の高橋京介(現青学大1年)らとともに、投手王国を築くはずだった。だがその年の冬に右肘の靱帯(じんたい)を損傷。2年時は公式戦のマウンドにすら立てなかった。

 けがから完全復活した今春。念願の背番号1を背負う。「チームに迷惑をかけたし、取り返したい」。2回表には、1死一塁から左中間に適時三塁打を放って先制。言葉通り、投打でチームを引っ張った。右腕エースの活躍に、尾留川徹監督(52)も「去年がなかった分、今経験している感じ。表情も落ち着いていた」と目を細めていた。

 今日25日の2回戦にヤマ場を迎える。中央地区大会準々決勝で3-6と逆転負けした明桜と激突。「前回はチームで18安打浴びたし、自分も打たれた。絶対に抑える」。剛球と緩急を駆使し、現段階で“県内最強”との呼び声高い強敵に挑む。【湯浅知彦】

 ◆須藤憂真(すとう・ゆうま)1994年(平6)8月20日、秋田・にかほ市生まれ。上浜小3年から「上浜スポーツ少年団」で野球を始める。象潟(きさかた)中から本荘に進学した。投手一筋。変化球はスライダー、カーブ、フォーク。家族は両親と弟、妹。身長180センチ、体重80キロ。右投げ右打ち。