<高校野球春季北海道大会:函館ラサール7-5北海>◇27日◇1回戦◇札幌円山

 26年ぶり2度目出場の函館ラサールが大金星を挙げた!

 昨年覇者の北海を下し、3季通じて道大会初勝利を飾った。2点差に迫った7回表2死満塁から7番・長沢瑞木一塁手(3年)の走者一掃となる右三塁打で逆転。左腕エース清水洋二郎(3年)が12安打を浴びながら163球の粘投でしのいだ。

 地区から13打席無安打の長沢のバットが、ここ一番で火を噴いた。趣味はオペラで、300人の前でも緊張せずに歌える強心臓ぶりは、7回2死満塁の“舞台”でも変わりはなかった。「ここはゴロでも何でもいいから点を入れる」。そう気持ちを奮い立たせて打席に入ると、武田将知監督(25)の指示どおり、スライダーをフルスイングした。右翼越えの走者一掃の逆転打に、三塁ベース上で拳を突き上げた。

 「地区大会では打てなくて…。やっと洋二郎を助けられてうれしいです」と胸を張った。殊勲打は努力のたまものだった。26年ぶりの全道出場が決まってからの1週間は、塾の時間を1時間半繰り上げて帰宅し、毎日約200本の素振りを続けた。「気合入れて振りました。成果があったのかもしれません」と白い歯を見せた。武田監督も「ずっと信じてファーストで使い続けてきた。一番良い形で応えてくれた」と褒めた。

 北海の強力打線に12安打を浴びながらも、最後まで1人で投げ抜いた清水は「今日は本当にみんなのおかげで勝てた。アイツ(長沢)も打ってくれたし最高です」と感謝した。

 初めて全道出場した64年秋に2回戦で4-5と惜敗した北海に見事リベンジ。次戦は4強入りをかけて甲子園優勝2度を誇る駒大苫小牧と対戦する。主将の田辺凌祐遊撃手(3年)は「前年優勝校に勝ったことで自信になった。全道で初めて勝ったこともラサールとして誇り。次も強豪ですが、チャレンジ精神で挑みます」。秀才軍団の春の円山旋風はまだ始まったばかりだ。【保坂果那】