<高校野球西東京大会:日野10-3明大中野八王子>◇23日◇準々決勝◇神宮

 勝利の方程式が決まった。3点リードの7回表。日野(西東京)の背番号2、豊沢拓郎捕手(3年)が登板した。最速143キロの直球を軸に変化球を交えて3回1安打無失点。約2時間の雨天中断にも「全く気にしない。気持ちは維持して、しゃべりながら、おにぎりを食べてました」とあっけらかん。今大会3試合目の救援登板で連続無失点イニングを12に伸ばし「勝てたことがうれしい」と、09年以来のベスト4進出を喜んだ。

 打っても4打数2安打1打点と“二刀流”で活躍した豊沢は、野球を始めてから捕手一筋だった。昨夏の新チーム結成後、投手力不足を理由に遠投120メートルの強肩をかわれて投手を始めた。だが、今春の都大会4回戦で利き腕とは逆の左肩を脱臼し、6月中旬まで満足な練習ができなかった。その間、筋力トレーニングに励んだ。「体幹(トレ)をやり続けたおかげでバランスが良くなり、コントロールも良くなった」とプラスにとらえた。

 国学院久我山、青梅総合、八王子実践、そしてこの日は明大中野八王子を破って、1966年(昭41)の創部以来2度目の最高成績。「私立を倒して、甲子園に行くことを目標にやってきた」と意気込む豊沢は日大三との対戦を意識している。09年の準決勝、入学からの夏の大会で2連敗中という因縁がある。26日の準決勝は早実-国士舘の勝者との対戦。「次を勝たないと行けないが、今回は日大三に絶対に勝つ」。西東京の都立校では、80年の国立以来となる甲子園出場を本気で狙っている。【細江純平】

 ◆豊沢拓郎(とよさわ・たくろう)1995年(平7)12月1日、東京・小平市生まれ。小1から花小金井サイドワインダーズで野球を始める。中学時代は父親の転勤で長野で暮らし、松本西シニアでプレー。178センチ、82キロ。好きなプロ野球選手は中日谷繁。趣味は睡眠と食べること。遠投120メートル。右投げ右打ち。家族は両親と妹。