<高校野球千葉大会:渋谷教育幕張2-1安房>◇20日◇4回戦◇千葉県総合SC

 超進学校の渋谷教育幕張は、「ID野球」で27年ぶり16強を決めた。

 弱くても勝てました!

 過去最高タイの16強です!

 全国トップクラスの進学実績を誇る渋谷教育幕張が、頭脳を駆使してシード校安房を撃破。過去5年で4度の1回戦負けを喫してきた弱小校が快進撃だ。1失点完投、7回には決勝打を放った高島健投手(3年)は「頭使わないと勝てませんから」としてやったりだ。

 きっかけは沼誠司監督(58)のゲキだった。「知力では負けないんだぞ」。初戦敗退常連校が勝ち上がる手段とは…。行き着いたのはデータ分析だった。

 東大志望の米倉理輝(まさき)内野手(3年)を首席分析官にすえ、対戦校データを集めた。15日初戦の東京学館に3-0と勝利し効果は表れた。18日には集計データを手に、安房のテレビ録画を2時間観察。頭にたたき込んだ。試合中もデータの束を離さず確認を繰り返した。

 「相手1番は182センチあって手が長いから内角が打てていないぞ」。リードオフマンを無安打に封じ1失点で乗り切った。

 「安房2番手は2巡目から外角中心の組み立てだ」。配球を知り「冷静に行けた」と高島が右中間へ二塁打。決勝点をもぎ取った。

 「守備では、打者ごとに前打席の打球方向をボードで掲げる。相手打者の傾向を加味して位置を取れ」。本来なら外野に抜ける当たりが何本も正面を突いた。「こんなにバックに助けられたのは初めて」と高島もはまりようにびっくりだ。

 今春、日本一の進学校開成野球部をモデルにした「弱くても勝てます」がドラマ化され注目を浴びた。東大を始めとした超難関校を進学希望としている千葉の秀才集団も、それを実証してみせた。【加藤雅敏】

 ◆渋谷教育幕張

 1983年(昭58)創立の私立校。生徒数は1051人(女子331人)。東大合格者数は14年48人で、近年は全国トップ10に名を連ねる。野球部は83年創部。過去最高成績は87年の16強。部員数は33人。主なOBはサッカー元日本代表闘莉王、日本テレビ水ト麻美アナウンサー。所在地は千葉市美浜区若葉1の3。田村哲夫校長。