宇治山田商(三重)は30日、智弁和歌山(和歌山)との3回戦に臨む。安房(千葉)との初戦(27日)でセンバツ史上最速となる153キロをたたき出した豪腕・平生拓也投手(3年)は、智弁和歌山の4番で今大会屈指のスラッガー坂口真規内野手(3年)を真っ向勝負で抑え込むことを誓った。“豪腕”対“豪打”の対決を制し、チームに甲子園2勝目をもたらす。

 プロ注目のスラッガー坂口との対戦に向け、エース平生が闘志を燃やした。3回戦を翌日に控えた29日、兵庫・西宮市内の野球場で約30球の投球練習などで最終調整した右腕は「もっと有名になりたい!(坂口を)全打席抑えたい!」と不敵に笑った。27日の初戦でセンバツ最速となる153キロをたたき出し、一気に知名度を上げた豪腕は、右の大砲・坂口封じでの甲子園2勝目を誓った。

 智弁和歌山は猛打を武器とするチーム。昨秋の公式戦10試合で1試合平均7・9点を奪った。冬場には打撃マシンを約150キロに設定し、破壊力に磨きを掛けている。丸子修学館(長野)との2回戦では8回に打者一巡の猛攻で7点を奪うなど、甲子園でも破壊力を見せつけた。中心は身長186センチの4番坂口。昨夏の甲子園で仙台育英・佐藤由規(現ヤクルト)から左翼席中段に本塁打を放った。

 勝利に向けての課題は明確だ。立ち上がりの悪さ。2回戦の安房戦では1回に1点、2回に2点を失った。その後は無失点に抑えたが、序盤の3失点がチームに重くのしかかった。猛打の智弁和歌山が相手だけに同じ過ちは犯せない。平生は「ブルペンでの投球数を増やしたい。これで立ち上がりも良くなるはず」と話した。今日の試合では、初回から100%の状態でマウンドに上がるつもりだ。

 今日の試合で、宇治山田商が勝てば、三重県勢としては94年の桑名西以来、14年ぶりのセンバツ2勝となる。快速右腕として注目を集めることになった平生だが、最も欲しいのはチームの勝利だ。「もう球速はどうでもいいです。勝ちたいです!」と平生。自慢の速球で智弁和歌山の4番・坂口を完全に抑え込んだ時、宇治山田商の甲子園2勝目がグッと近づいてくる。【桝井聡】