雄星が、英雄になる!

 花巻東(岩手)は31日、ベスト4をかけて南陽工(山口)との準々決勝に挑む。152キロ左腕のエース菊池雄星(3年)は30日、兵庫・西宮市内でノースローで調整を行った。相手打線の攻略に自信を見せると同時に「あと3つ勝って、子どもたちに目標とされるような選手になりたい」と優勝宣言。地元岩手のためにも、勢いそのままに頂点に立つことを誓った。

 力強く、堂々の優勝宣言だ。

 菊池

 岩手のみなさんも、かなり盛り上がっていると思う。さらに盛り上げられるように、あと3つ勝ちたい。希望というか、子どもたちに目標とされるような選手になりたい。

 鵡川(北海道)明豊(大分)を2試合連続でシャットアウト。最速152キロも記録し、花巻東・菊池の名は全国に広まった。8強入りし、全国制覇は夢じゃない。エースが、天下取りを宣言した。

 31日対戦する南陽工は、2回戦で名門PL学園(大阪)を2-1で撃破。9回まで無安打無得点に抑え込まれた打線は、延長10回に2点を奪って激戦を制した。菊池は「ちょこちょこ当ててくる感じで、勢いに乗せたら怖い。力じゃなくて、コースを攻めて勝負したい。勝つ自信はあります」と、対決への心構えを話す口調も頼もしかった。

 勝てば、県勢では84年大船渡の4強進出に肩を並べる。3試合連続完封勝利となれば、東北投手としては71年夏の「小さな大投手」田村隆寿(福島・磐城)以来、38年ぶり2人目の快挙となる。それでも、菊池の頭には勝利の2文字だけ。「記録は意識しません。投手として、3点以内に抑えるのが仕事」と、気持ちはただ勝ち進むのみだ。

 明豊戦で147球を投げたこともあり、この日はノースロー調整。念入りなストレッチで戦いに備えた。「コンディションもいいです。行けると思います」。大先輩もつかめなかった深紅の優勝旗を手にし、地元の星となる。【由本裕貴】