21日に開幕するセンバツ(甲子園)に初出場する山形中央(山形)が15日、兵庫県姫路市内で姫路工と練習試合を行い2-3、8-3の1勝1敗だった。昨夏まで「背番号1」を背負った武田直樹投手(3年)が、1試合目で8回に3点許したが、7回までは4安打無失点の好投。左腕エース横山雄哉(2年)に次ぐ、貴重な右腕が順調な仕上がりをアピールした。

 エース奪還に燃える男がマウンドで躍動した。武田直は、春夏5度の聖地経験がある「甲子園の先輩」姫路工に堂々の投球。6回裏1死一、二塁のピンチを連続三振で切り抜けると、大拍手でベンチに迎えられた。8回に四球とポテンヒットなどで3点を失ったが「制球重視で丁寧に投げられた」と気にしない。抜群の安定感で、庄司秀幸監督(33)にアピールした。

 昨夏まではエースナンバーを背負った。しかし、大黒柱としてチームをけん引する陰で、横山が成長。新チームではエースの座を譲り、後輩の力投をライトから見守ってきた。「横山はすごいけど、(背番号1を)取り返したい」。武田直の思いは庄司監督に伝わった。

 1月上旬、指揮官から「投手1本」を告げられた。「モヤモヤが吹っ切れて『やってやろう』の気持ちになれた」。オフは、雪中でのポール間走やタイヤ引きで下半身を強化。球速も5キロ増の135キロまで伸びた。「センバツで投げられるように頑張った」と厳しい練習にも耐え抜いた。

 左の横山に右の武田直。投手陣に厚みが増した。「どっちも良くなってきている。(21日の)日大三との試合が待ち遠しい」と庄司監督。ナインの成長の分だけ、センバツが楽しみになる。【湯浅知彦】