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日大三・吉沢は父に続く1発/センバツ

8回裏日大三無死一塁、左越えに2点本塁打を放つ吉沢(撮影・上田博志)
8回裏日大三無死一塁、左越えに2点本塁打を放つ吉沢(撮影・上田博志)

<センバツ高校野球:日大三14-4山形中央>◇21日◇1回戦

 日大三(東京)は元プロ野球選手を父に持つ2人の活躍で9年ぶりの春勝利を挙げた。吉沢翔吾内野手(3年)が2ランを含む3安打5打点。脳腫瘍(しゅよう)を克服した山崎福也投手(3年)が完投した。

 父と子の夢を乗せた打球が、甲子園の浜風に乗った。7点リードの8回無死一塁。吉沢が初球の内角低めカーブを振り抜くと、左翼ポールを巻くように、スタンドに飛び込んだ。「切れるかと思ったけど、切れなかった」と表情を変えずにベースを1周した。ようやく感情を爆発させたのは、試合後のお立ち台。「本当はうれしかった。最高です!」と、顔をくしゃくしゃにした。

 スタンドには阪急、南海でプレーした父俊幸さん(55)が駆け付けた。日大三で71年にセンバツ優勝、72年に同準優勝。しかも71年の準決勝では本塁打を放っている。2安打3打点で迎えた最終打席直前、父は「欲を言えば、1発打って欲しい。親子でホームラン打った人はいないって聞きました」と願いを込めた。聞こえるはずのない「声」が、吉沢の背中を押した。

 幼稚園の年中で初めてバットを握って以来、常に父が目標だった。中学時代は全体練習後、毎日1時間以上、父とティー打撃を行った。実家にはプロ選手だったころの写真が飾ってある。「半端なスイングはするな。フルスイングしろ」と英才教育を受けてきた。

 16日の甲子園出発の朝、父が運転する車で東京駅に向かった。「思い切りやってこい」。同じ遊撃手同士。細かいことは言わない父の言葉を背に、新幹線に乗り込んだ。

 初めての甲子園となった昨夏初戦は、3打数無安打に終わった。悔しさを胸に、冬場の練習で尻回りが5センチアップ。体重も4キロ増とパワーアップした。練習にバドミントンなども取り入れ「今日は借りを返せたと思う」と言った。

 小、中学校と卒業文集の夢には「プロ野球選手」と書いてきた。昨秋は東京大会準決勝で敗れ、出場さえ当落線上だったが、先発全員の19安打14得点で山形中央を圧倒した。吉沢は「優勝して、父を抜きたいです」と、春夏連覇の大きな夢を掲げた。【前田祐輔】

 [2010年3月22日11時46分 紙面から]


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