<センバツ高校野球:日大三14-4山形中央>◇21日◇1回戦

 完膚なきまでに打ち込まれ、ナインの春が終わった。21世紀枠で春夏通じて甲子園初出場の山形中央(山形)は、全国制覇経験のある強豪・日大三(東京)に大敗した。大黒柱の左腕・横山雄哉投手(2年)が、7回0/3を2被弾含む18安打13失点でノックアウト。超強力打線の洗礼を浴びた。横山は「本当に自分の未熟さを痛感した」と、苦い思い出と捲土(けんど)重来の思いを胸に、ひとまず聖地から去った。

 容赦なく襲いかかってくる相手打線を、開いていく点差を、エース左腕では止めることができない。反撃ムードが残された4-7の7回裏無死一塁。横山は外角スライダーを左中間へ、1死三塁からは外角直球を右越えへ痛打された。得意球を攻略されては、なすすべもなかった。

 8回裏無死一塁から、自身初の1試合2本目の本塁打を浴びて降板。10長打を含む18安打とめった打ちにされた。「勝負どころの1球が甘かった。甲子園の雰囲気にのまれた」。試合後、横山は力なくつぶやいた。

 この冬、横山はジャンクフードで体を作った。「体重を増やさないと、球が速くならない」が口癖だ。OB加藤条治(25)が、バンクーバー五輪スピードスケート男子500メートルで銅メダルを獲得した2月16日。全校応援で盛り上がる中、横山は応援会場を抜け出し、校内の売店で購入した空揚げ、フライドポテトを両手に持ち「体重が気になるんで」と余念がなかった。昨夏の体重58キロは、今では72キロまで増量した。その成果か、16日の練習試合(対市川=兵庫)では9回をパーフェクト投球。この日は、最速を2キロ更新する137キロをマーク。日大三戦へ自信を深めたが、相手は1枚も2枚も上手だった。

 全国レベルの壁を痛感したのは、エースだけではない。5回表に同点に追いつき流れをつかみかけたその裏、無死一塁と1死一塁の2度、内野ゴロを併殺で切り抜けられなかった。直後に連打で勝ち越された。わずかコンマ数秒の差…。庄司秀幸監督(33)は「あそこでどっちかゲッツーなら…。その速さが無かった」と悔やんだ。

 そんな大敗にも山形中央らしさは発揮した。1回に3安打を集め2点を先制。甲子園初得点を奪い、主導権を握りかけた。同監督が「良い形で自分たちの攻撃を大舞台で見せられた」と話せば、安打で出塁した先頭打者の細矢凜遊撃手(3年)は「自分の得点が(山形)中央の歴史的な1歩になった」と、満面の笑みで心の中を表した。

 収穫も得た。日大三の140キロ左腕・山崎福也(さちや)投手(3年)から全4得点を左打者で奪った。エース横山は「大舞台での制球力を身に付けるとか、夏勝つための行動を起こす」と既に夏の聖地を見据える。夏こそ自力で甲子園出場を勝ち取り、勝利を味わってみせる。【湯浅知彦】