<高校野球沖縄大会>◇19日◇決勝

 今春のセンバツにも出場した興南が甲子園一番乗りを果たした。決勝で中部商を4-2で破り、2年ぶり8度目の出場を決めた。エース島袋洋奨投手(2年)は3回途中から登板して反撃をかわした。

 日焼けした興南・島袋の顔がほころんだ。「夏の甲子園は暑いと聞いているので、しっかり調整します」。ようやく手に入れた夏の甲子園切符。念願のリベンジの舞台がやってきた。

 大事な1戦でエースの存在感を示した。この夏初めてベンチスタートとなったが、3回無死満塁で早々と出番が来た。右飛で1死を取ると、後は2者連続三振に取った。この夏最多の8安打されたが、最少失点に抑えた。4回無死三塁、8回1点を失った後の1死満塁でも三振を奪い、相手打線の勢いを止めた。我喜屋優監督(59)は「三振を取って欲しいところで取れる投手」と感心する。島袋は「落ち着いているように見えますか。そうでもないんです」と照れた。

 センバツは「いい思い出がない」と言う。10回を投げ19三振を奪いながら初戦敗退。三振よりも自分のバント処理のミスから失点したことが悔しかった。母美由紀さん(46)は「家では何も言いませんでしたけど失敗を気にしていたようでした」と話す。センバツ後は走者を一塁に置いてバント処理を繰り返した。この日は8回無死一、二塁の場面で投ゴロを捕ると迷わず二塁へ送球しアウトを取った。「あそこで島袋君にやられたのが痛かった」と中部商の盛根一美監督(56)に言わしめた。

 夏こそ甲子園で勝利を挙げてみせる。「センバツの負けと九州大会の負けがあったから、勝ちへの貪欲(どんよく)な気持ちが強くなりました」。センバツで悲劇の主人公となったエースが、この夏は本当のヒーローになる。【前田泰子】