<高校野球三重大会>◇20日◇3回戦

 近大高専が津工を9-2(7回コールド)で下した。プロ注目の鬼屋敷(きやしき)正人捕手(3年)は「4番・捕手」でスタメン出場して5打数3安打、4打点とバットで勝利に貢献した。

 やっぱりすごかった。ドラフト指名対象問題で注目を集めた近大高専・鬼屋敷だが、この日はバットで見せた。1死一、三塁で迎えた1回に左前に先制タイムリーを放つとその後も打ちまくり、5打数3安打、4打点と大活躍。鬼屋敷は「積極的にいくことだけを考えていた。今日はランナーをかえすことが出来たんで良かったです」と照れ笑いを浮かべた。

 天性のパワーを備えている。高校球児の大半がプロ同様に手袋を付けて打席に立つが、鬼屋敷は素手でバットを握る。「手袋も試したことがあるが、素手のほうが感覚がいい。しっくりくるんです」と鬼屋敷。かつて試合で中日落合監督、ヤンキース松井も素手でバットを握ったことがある。握力は右65キロ、左63キロ。名選手と同じくこの日もギュッとバットを握りしめ、豪快なスイングで鋭い打球を連発した。

 自然が高校球界屈指の強肩捕手を育てた。実家がある三重県南牟婁郡紀宝町は人口1万2356人(09年6月末)。「家の前は田んぼで周りは山に囲まれている。小さいときから近くにある相野谷(おのだに)川で毎日のように遊んでいた」と鬼屋敷。幼いころから遊び場はもっぱら山と川だった。環境が野性味あふれるプレースタイルを作り上げた。

 “鬼肩”とチームメートから言われる肩も披露した。5回、無死一塁からストライク送球で走者を刺した。「最近はあまり走ってこないけど、やっぱり気持ちはいい」とニンマリ。チームは16強まで勝ち進んだ。一方でこの日も試合後、約20人の報道陣に囲まれるなど、鬼屋敷に対する注目が高まっている。「注目されることはうれしいが、あまり気にせずプレーに集中したい」。高校球界屈指の捕手がチームを甲子園に導く。【桝井聡】