<高校野球大阪大会>◇28日◇5回戦

 プロ注目の強打者、金光大阪・陽川尚将内野手(3年)が関大一戦で今夏1号を放った。3回2死一、三塁で左翼へ高校通算36号の先制3ラン。5-3の9回2死三塁では、救援の相手主砲、西田哲朗内野手(3年)からダメ押し適時打。日米10球団17人のスカウトが見守る前で3安打4打点を放ち、7-5で準々決勝に導いた。

 「打てなくてチームに迷惑をかけてばかりで。ほっとしました」。初戦の1回戦・池田戦は4打数無安打。行きつけの大阪市内の銭湯で、湯船につかりながら「何でやろうなあ…」と考えた。疲労回復と気分転換が目的の銭湯通いが、熟考の場所になった。のぼせないよう湯船と水風呂を行き来して、約1時間。何で打てないか考えた。

 「打つときに腕に力が入りすぎる」と気付いた。インパクトだけ、右手に力を込める練習を繰り返し、この日初打席の左前打でフィーリングを取り戻した。そして第2打席で先制弾。9回2死三塁の第5打席ではカウント0-2でタイムがかけられ、伝令が横井一裕監督(34)の言葉を伝えた。「もう1点ほしい。頼むぞ」-。期待に応えるダメ押し打だった。

 熱中症から来る下痢に苦しむエース木場健志郎(3年)が9回途中から救援し2者連続三振を取るなど、チームメートは奮闘している。「ここまで投手が頑張ってくれた。これからは打って援護します」。準々決勝を前に、頼もしい主砲が戻ってきた。【堀まどか】