チームのため、父のため突破口を開く。北北海道代表、旭川大高が9日、第2試合(午前11時開始)で常葉学園橘(静岡)と対戦する。北大会で出塁率4割の1番打者、藤森和磨右翼手(3年)が147キロ右腕庄司隼人投手(3年)の攻略を誓った。今年2月に亡くなった父圭司さん(享年47)に甲子園1勝をささげる。
旭川大高の藤森は、力強い支えを信じて甲子園に立つ。チームは8日、兵庫・西宮市内で試合前日の最終調整を行った。この夏は不動の1番となった藤森も打撃練習で快音を残した。「四球でも死球でも、何でもいいからとにかく塁に出る。お父さんが背中を押してくれると思う」とほほえんだ。
悲報は突然だった。今年2月、最愛の父圭司さんが事故で天国に旅立った。小学2年で父がコーチだった野球チームに入った。「いつも試合を楽しめと言ってくれた」。キャッチボールは何度もやった。野球に導いてくれた最初の恩師は紛れもなく父だった。
3日の大阪への出発日、旭川市内の自宅で仏壇に座り、手を合わせた。「父も行ってみたいと言っていた甲子園なので『行ってきます』『元気でプレーする』と声を掛けました」。昨秋は2ケタ背番号で投手兼任外野手で、今春は右足肉離れでベンチ外。千葉広規部長(32)は「(死去を)少しでもプラスに変えられたのは彼の力」と努力を評価した。
激突する常葉学園橘の右腕庄司は、最速147キロでカーブ、スライダーなど変化球にも定評がある。端場雅治監督(40)は「リズムに乗せると手が付けられないかも。早い回で先取点を」という思惑があり「選球眼がいいし、粘れるので速い球も食らいついていける」と1番打者に期待を寄せた。
藤森は北大会制覇の翌日には家族で墓参りに行き、優勝メダルをそっと墓石に掛けた。「今度は甲子園の優勝メダルを持ってくると言いました。大きく出ちゃいましたね」と笑ったが、甲子園出場の約束を果たし、今度は1勝を天国に届ける番だ。旭川地区予選から父の指輪を首から下げてきたが、大舞台でも胸に生き続ける父と一緒に戦う。【村上秀明】


