<全国高校野球選手権:花巻東4-1東北>◇20日◇3回戦
「東北の盟主」を倒し、花巻東(岩手)が県勢41年ぶりのベスト8進出を決めた。4-1で東北(宮城)を下し、岩手県勢としては史上初となる夏甲子園3勝の快挙だ。打線が大振りしない、足を生かした堅実な野球で小刻みに加点し、エース菊池雄星(3年)を援護。みちのくの名門を撃破した勢いで21日、明豊(大分)との準々決勝で県勢90年ぶりとなる4強入りを狙う。
試合終了を告げるサイレンが響き渡る中、相手選手とガッチリ握手した。雌雄を決する東北との、みちのく対決。単に勝ったから、ではない。全力で戦った喜びで、花巻東の全員が笑顔だった。珍しく菊池も、9回最後の打者を三振に取ってもガッツポーズはない。「東北さんも最後の夏。喜怒哀楽を出すと申し訳ないので」と敬意を払うことを忘れなかった。
着実な攻撃を貫き、試合の主導権を握った。3回、1死二塁から9番の山田隼弥右翼手(3年)が東北・佐藤のストレートをたたきつける。けん制で二塁ベースカバーに入った相手遊撃手をあざ笑うかのように打球は、がら空きの三遊間を抜ける先制打となった。4回には2死三塁から、横倉怜武一塁手(3年)の遊撃内野安打で加点。5回には再び山田が一塁内野安打で出塁。盗塁と悪送球で三塁に進むと、柏葉康貴二塁手(3年)の一ゴロでホームを駆け抜けた。激走で敵を翻弄(ほんろう)した。
「昔はこてんぱんにやられた相手。いつか東北さんのようなチームになりたいとやってきたので、本当にうれしい」と佐々木洋監督(34)は目を細めた。監督就任後、最初となる03年6月の春季東北大会準決勝で東北に1-10で7回コールド負け。ダルビッシュ(日本ハム)に場外アーチを許すなど、地元岩手開催の大会で大敗を喫した。
屈辱的なこの一戦を糧に指揮官は、攻撃の強化に乗り出した。「どれだけ打率を残せるかではなく、どれだけ得点に絡められるか」。長打などは求めずに、足を生かした機動力や粘り強い打撃を求めた。この日の一戦で、その野球を存分に発揮し、目標だった名門校に勝ってみせた。
21日、今春センバツ2回戦で完封勝ちした明豊との準々決勝に臨む。勝てば夏甲子園では、19年(大8)の盛岡中以来、県勢90年ぶりの4強だ。「岩手の歴史を変えるためにここに来た。あと3つ絶対に勝ちたい」と菊池。岩手、そして東北の歴史を塗り替える偉業に、また1歩近づいた。【由本裕貴】

